398.オンライン研修では、ジャイアンがいなくなる。

私の対面集合研修では、5~6人の小グループに分かれて自由に討議することが多いです。そうなると、その中に威圧感、腕力でその場の雰囲気を作って、自分に逆らえないようにして仕切ろうとする人が必ず出てきます。論理や言葉ではなく、短気で強引な力ずくが得意な人です。いわゆるドラエモンのジャイアン、またはジャイ子です。それはどんな業種、階層でも現れます。ジャイアンが出てくると、必ずグループにいる、のび太やスネ夫は黙ってしまい、ジャイアンの顔色を見ながら遠慮がちに話します。もちろんそれを見たらファシリの私は介入して、自由に話すように促しますがその繰り返しです。

しかしオンライン研修では、それがなくなります。全員が自分のホームからの参加ですから、本来のありのままの自分でいられます。研修の場で起きる緊張した空気感はなくなり、平等な場が設定され全員テーマについてフラットに手をあげて自分の意見を自由に活発に行い結果相互討議が対面集合以上に起きます。これは想定外の良い効果です。オンライン研修の最初はみんな、オンラインで何ができるの?という疑心暗鬼の表情から最後のころは、自分は十分に発言、聞くこともでき、討議も深まり、満足した明るい表情に変わっています。そして今度が、ライブで会いたいねというポジティブな気持ちをだいたいの人が持ってくれます。

先日丸の内の地下鉄の中で、大企業の部長と思える(役員なら社用車)2人が、オンライン会議の悪口を言っていました。画像は止まるし、音声は遅れるし、一緒に話し始めてしまいいらいらする。何より細かい表情が見えないし場の雰囲気、空気が読み取れない、作れないので、コミュニケーションの伝達がなかなかできない。あんなものはダメだ。と糾弾していました。技術的問題はすぐに解決しますし、進め方のルールを作ればたいていのことはうまくいきます。彼らの不満は、彼らが得意とする自分の態度、姿勢、身振りによる威圧感、発言の内容よりその語気や、スピードにより、その場を支配することができない。またそれを感じて、周囲が自分に忖度してこないことが真の不満です。しかし上下関係が薄くなるオンライン会議は若手には好評です。

先日のオンライン笑点で、七光りだけで面白くないといつもいびられている三平がきょうは、うるさくて怖い、木久扇さんや、円楽さんが隣にいないのでリラックスできると喜んでいました。リラックスしてもつまんない答えは変わりませんでしたが。

オンライン討議になると、ジャイアンの影響は薄くなり、本来ののび太、スネ夫の力が出せる環境になります。いいことです。コロナが去りまた、対面の会議、グループ研修になっても、オンラインと同じように、ジャイアンにのび太もスネ夫も立ち向かえるか。その対立を恐れていたらまたもとに戻ります。たくさんのジャイアン、ジャイ子は元の影響力を発揮したいのですから。のび太とスネ夫の覚悟と決意に期待します。

それでは、チュース!!

397.コロナの上手な怖がり方

日本のコロナは収まりつつあるのか、いや緩みがでてこれからの第2波、3波が本当に怖いのか、政治家の話を聞いてもメディアを見ていてもよくわかりません。なんか恐怖感ばかりを煽られ、自粛自粛でみんがすっかり委縮してしまっています。私の場合、当面の仕事の集合研修はなくなって暇になり、コロナ関連の公式データ(東洋経済オンライン、Yahoo、日本ドットコム)をずっと見ていました。そこで何をどのように怖がれば良いのか自分なりに考えてみました。まず、データです。

  • 日本の累計感染者は現在(6/8)16923人での年代別感染者比率は20代以上の年代別には差はない。人口10万人に対して20代以下:3~4人、20代:23人、30代~80代以上:14人~18人。
  • 感染者死亡率は年代で大きく異なる。~20代:≒0%、30代:0.2~0.3%、40代:0.4~0.5%、50代:0.8~0.9%、60代:4~5%、70代:11~13%、80代以上:20~25%
  • 世界の平均感染者死亡率は、5~6% 日本5,4%、アメリカ7%、中国5.5%、英国14.2%、フランス19.0%、イタリア14.4%、ドイツ4.6%、スペイン11.2%、韓国・トルコ・ロシア・パキスタン・インド5%以下。

そこから見えてくる事実は

  • 日本では20代以上は居住、行動範囲は異なるのに感染率は同じである。ただし若年層は積極的に行動した結果であり、高齢者は病院、介護施設等、自分では変えられない環境から感染してしまった結果だと推測する。高齢者でも元気で巣ごもりした人は、家族以外からは感染していない。20代以下は、ほぼ感染しない。
  • 50代までなら感染しても、死亡することは稀である。60代から死亡率は急激に高くなるのは、持病があることと、免疫力(体力)がなく。重篤化しやすいのであろう。
  • 医療が発達している、フランス、英国、イタリアで死亡率が高いのは、医療崩壊もあるが、高齢者が多く、その施設での集団感染とスキンシップの多い文化の影響であろう。アジアやアフリカでは感染者が出ても死亡率は全世界で変わらないのは、まだ特効薬、ワクチンがなく、感染したらあとは体力勝負なのかもしれない、そうなると若い人口の多い国のほうが影響は少ない。(各国のデータが正しいという前提です)医療が発達していない国では、持病があれば死んでしまうので、持病を持った高齢者は少ないのかもしれない。

そしてワクチンや特効薬が出てくるまで、個人としてできるリスク対策は、もう言われていますが予防策として

  • 飛沫感染、接触感染を防ぐための、3密をさけて、マスク、消毒液、手洗いの実行。*私も接触のある社交ダンススクールはお休みにしました。
  • 普段でも接待を伴う飲食に行っている人は、ごく一部ですが、この時期は避ける。
  • 不要不急の人との接触は今はやめておく。特に地方在住の友人、知人(東京人はバイキンマン)。
  • 免疫力強化、快食、快眠、改運動、快便、ストレス溜めない、発散を実行する

緊急時(コロナにかかった疑いがあった時)として

  • 相談できる、かかりつけ医師、公共の連絡先をあらかじめ調べて決めておく。
  • 疑いをもったら、我慢せず、遠慮せず、躊躇せずに行動する。

このくらいのリスク対応を準備すれば、仕事はテレワーク、オンライン会議もできるし、会議も新しいルールで始まりますから、あとは新しい社会様式で普通の生活に戻っていいでしょう。様子をみながら、地味に出かけていいと思います。対策を取ってくれているレストランは大丈夫です。それに万一かかっても、高齢でなければ致死率はかなり低いです。完璧な巣ごもり、stay homeでは、他の病気にならないか心配です。コロナ絶滅は無理で共生です。

日本でのコロナの死者はいまのところ1000人くらい、それも8割以上は70才以上です。外国に比べて、本当によく抑え込んでいます。実は昨年の自殺者は、日本で20169人、しかも20代、2117人、30代、2526人、40代は3426人、50代は3435 人 死因の上位です。特に若年層は病死より多いです。交通事故死は、年間3000人に減少しましたし、交通事故は高齢者に偏りますから、若年層はより自殺注意なのです。自殺する人は、無職、フリーターの人が半分以上です。このコロナで世の中の経済が回らなくなると、社会の弱い立場の人が一番影響を受けやすいです。日本人の遵守精神は、すごくて自粛でもこれだけの効果を出します。しかしブレーキがかりすぎて経済がストップしたら、これも大変です。様子を見ながら、また感染拡大したら、少しブレーキをかけるような、バランス感覚を大事にしながら、うまく折り合いをつけていきましょう。政治も個々人も。

それでは、チュース!!

396.小手先の対応では通用しない

コロナ自粛は1ヶ月くらい延長になり、自粛疲れと経済の停滞で、日本は危機に直面しています。非常事態解禁と経済再開をどのタイミングでどのステップでしていくか、テレビで評論家が結論のない無責任な放言を繰り返していますが、実際にこれを決断してその戦略を実行させていく政治、行政の責任者、医療現場、実行部隊は本当にたいへんで、どれを選択しても当面は非難されますから、たいへんな仕事です。歴史に名前が残る仕事でやりがいはあるでしょうが。

先日、軽井沢にホテルを持ちホテル再生を次々行い、日本のリゾートビジネスのリーダーの星野リゾート代表の星野さんが、地元信州のテレビに出てきてコロナ危機の現状と今後の方策を話していました。これが2月のものと3月では、言っている内容が激変していました。2月中旬の頃は、この騒動は4月末には終息する。5月連休に向けてしっかり準備していかなくてはいけない。この2月のデータを分析すると、都会はダメだが地方のリゾートはテレワークの影響で地方勤務の主人はホテルで仕事、家族はリゾート施設を楽しむ利用が目立っている。その家族を対象にマーケティングを今すればいいと言っていました。あくまでこのコロナ騒動は一時的という2月の認識でした。

しかし3月中旬は、コロナの終息は1年半から2年先である。コロナが怖ければ客は絶対にリゾートには来ない。その期間仕事は4割に減る、ワークシェアリングを行って減った宴会担当者は他の仕事もする。給料は下がるが雇用は守ると宣言、観光業の未来は明るくその時に必要な優秀な人材はなにがなんでもキープすると明言していました。しかし2年後、旅行する人の価値観は全く変わる。そこを考え予測して的確な戦略を作り、実行しなければならない。まず安心、安全が最優先になるのは間違いない。さすが、名リーダーと思います。危機が来るとすぐに社員、従業員のリストラ、解雇だけで、無策でマネジメントだけが生き残る会社とは違います。しかし多くの大企業の役員はオーナーではなく、限定された4年~6年間生き残れば良いと考えるのが普通の人ですから、自然です。

今、企業で一番大事なことは、コロナ後の社会の価値観、人間の欲求の変化、優先順位の予測です。コロナ前と同じことをやっていては、置き去りにされるでしょう。今回の自粛で不要不急という言葉が一般化しました。テレワークは昔は無理とされていました。しかしテレワークをしてみて、無駄な仕事、会議、レポートの多さに気付いたと思います。あんなに無理して通勤する必要があるのか、会社が終われば当たりまえのように居酒屋にいかなくてはいけいのか。いろいろ疑問が湧いてきます。変えてもいいのじゃないかと思う人が日本中に増えました。そこにもビジネスチャンスはあるはずです。忙しい、やることいっぱいありすぎてと、今まで何も考えないできた多くの人たちも、これだけ暇なGWはこれからないと思います。人間、仕事、環境、自然、家族、人生をじっくり考えなおすいい機会だと思います。

それでは、チュース!!

395。孤独のすすめ、ひとりで楽しむ

接触者を8割減らす、STAY HOME、飲み会・懇親会禁止、テレワーク、人とは3m離れろ、話はするな、これは今まで日本の社会、会社、組織が良しとしてきた濃密なコミュニケーション、人と人とのふれあい、絆の確認の正反対な行動の要求です。そもそも日本の社会、会社は、農耕民族の伝統からチーム活動、人と人の協力が基本で成り立ってきましたから、子どもの時から、友達100人できるかな、友達を大切・親切に、わがままはいけません。大人になっても友達の多さ=人脈を強みとして自慢する人は多くいます。会社でも飲み会、懇親会は必須です。集団で群れることが善という文化です。これは会社だけではなく、同窓会、町内会、OB会、各種同好会、サークルもみんなで楽しもうが原則です。私の友人は、夜の予定が入ってないと疎外感を感じて、友人、知人に電話して夜の予定を埋めています。多くのFBは仲間との飲み会、親睦会の友達との集合写真がかなりあります。

そういう私も、いろいろな会に入ってお誘いで飲み会もあるのですが、実は楽しい会もありますが、なんとなく、止めることが言い出しにくくて続けているものもあります。もちろんこの時期はすべて自粛でなくなって寂しさも少しありますが、正直ほっとしている飲み会もあります。そもそも一人でいることも好きなのですが、つきあいを断ると、一匹狼、協調性がない、人付き合いが悪い、孤独が好きとか、陰で悪口を言われます。会社では夜のつきあいに出ないと、ホントの情報、話がわからないという、日本独特の悪習もありました。

今度のコロナ事件は、日本にとって明治維新、2次大戦の相当です。価値観、働き方、権力構造も変わるでしょう。それについては、また書きますが、まず不要不急なものが、見直されます。テレワークを実際にやってみて、そんなに困らないという話もよく聞きます。集合形式の会議もテレビ会議でだいたいカバーできます。テレワークでできないのは、稟議のハンコ押しくらいらしいです。ハンコ稟議は、すぐに変えられるでしょう。夜の飲み会もなくなって最初はさみしかったかもしれませんが多くの人は慣れたでしょう。小学生のアンケート休校直後には、困ったことの50%が友達に合えないことでしたが、1ヶ月もすると10%以下になります。子供でもそんなものです。職場の飲み会もそんなものでしょう。なくてもなんとなるのです。

この自粛の中、飲みに行っている人や、越境してまでパチンコの言っている人は、仕事もなくなり、暇でやることがないという人が多いのです。こういう時間がある時は、自分だけでできること、没頭できるひとり遊びをたくさん持っている人は強いです。つきあいがなくなってできた時間を自分のために使いきることができる、至福の時が持てるのです。しかし、世の中、これをきっかけに、人と人が群れないといけないという同調圧力は確実に減ります。仲間外れ、一匹オオカミのレッテルから、孤独に強い、自分だけで楽しめる、孤高な円熟した大人と評価される時代がきます。

それでは、チュース!!

394.社会が全くワークしなくなってしまいました。

いま、日本、いや世界は戦後最大の危機です。今までの社会が前提としていた、生理的・安心安全の生物として基本的な欲求が満たされなくなる状態が目前に迫ってきています。私たちの社会、会社、組織が今まであたりまえと思っていた前提があります。それは、戦争はなく、大地震、自然の大風水害はなく、それに生命脅かす伝染病の蔓延などは起きないというものです。日本は自然災害はたびたび、地域的に被害を受けていますが、日本全体で見えざる新型コロナとの戦争は初めてです。私の人生でも初めてです。

私のブログのテーマ「ワークしてますか」はそれらの前提の上で、どうしたら、組織、人が今より上手にやっていけるか、もっといいやり方があるよねということをずっと書いてきました。しかしその前提がないところでは、このコロナが終息するまでは、何を書いてもリアリティのない話になってしまいます。

この危機の中で感じたことは、世の中何があるかわからない、一寸先は闇は、諺だけではなく実感したこと、そしてこのような災害、不幸はこれからも必ず起き続けるということです。過去に振り返って、平穏な日々を懐かしがっていてもしょうがないのです。それでは、何が必要か、やはり、会社も個人もリスク管理です。将来のリスク予想で、リスクが低められればよいのですが、大地震や風雨害、コロナ危機は防ぐことはできません。そうなると起きた時にどうするかの準備をできるだけしておくことです。グローバルチェーンの崩壊が起きていますが、その前提はどこの国とも友好的に通商でき、物流もスムーズに効率的に流れ続けるということがあたりまえでした。そこには余裕がありません。すべてがうまく行く前提です。私が大きな会社にいた時に、もっと余裕を見て計画作りましょうと言うと、それは無駄なだけだと厳しく叱られました。日本は余裕は無駄と捉えられることがほとんどです。東電の福島第一原発事故も高い堤防は無駄と判断されました。このコロナの後で、世の中、社会の考え方は変わると思います。

会社ではなく、個人も危機に遭遇した時は余裕があるかないかが、幸不幸の境目です。国や自治体に過度の期待をしても今のテレビの報道を見ても難しいことです。個人として生き残るには余裕です。自営業、特に飲食業、ミュージシャン、ダンサー、などなどは日銭が入らなくなったら、そのままドボンしてしまうひとが大半です。その点、官公庁、大企業は日頃は我慢も多いでしょうが、危機的な状況ではしばらくは金銭身分保証してくれます。たぶんリスク管理して職業を選んだことの良い面が出ています。やはり自営業でも仕事がなくなってもしばらく家族を守れる金銭的余裕は大事でしょう。そして状況に影響されて凹みすぎはいけません。なんとなるという精神的なタフさは危機的な状況で一番大事です。心を強くしておかないといけません。あとはタフな体です。コロナが来てもはね返すだけの体力です。これらは、準備が必要です。いきなりは無理です。お金と心と体の余裕です。心配性すぎるのはいけませんが、ある程度のリスクに対する準備がこれから、ますます重要になってくるでしょう。もちろん感染予防の3密を避けるのはいまできるマストのリスク管理です。

それでは、チュース!!

393.新型コロナウイルスと研修延期

新型コロナウイルスは国家の危機にまで発展しており、国を挙げての戦いが始まっています。地震や風水害に加えて日本はまた試練です。安倍首相の号令で全学校は休校、大規模テーマパークも閉園、スポーツ、ライブも続々中止で、ビジネスも出張禁止、会議禁止、テレワークなどで、しばらくは様子見、おとなしくしているしかありません。スウェーデンから春休みに桜を見に家族で東京に来る予定だった友人もキャンセルしました。観光どころではない状況と理解したようです。

景気が悪くなると、真っ先に経費節減されるのが、交通費、交際費、研修費のいわゆる、コストカット3Kです。今回の災いでも、出張禁止、会食・懇親会・接待の禁止、研修延期がすぐに会社で発令されました。病気感染の予防のためですからそれは当然です。社員の健康あってのビジネスですから、早くて、的確な決断をどこの会社でもされていました。私の仕事も2月半ばから、4月までの研修は、キャンセル、延期になりました。私の研修・ワークショップは少人数、5~6人の小グループで口角泡を飛ばしながらの、白熱した対話、討議を対面でして、懇親会までやるのですから、今回の病気の感染には全く都合が悪いのです。いわゆる濃厚接触の連続です。こういう時は嵐が、病気が終焉するまで、じっとしているしかないです。研修=人材育成は、会社、個人の重要課題ですが、緊急課題ではないのです。

しかし、Skypeやテレビ会議システムを使った、コーチング、プレゼンコメントなどは、引き続き残り、また対面研修の替わりに、会議システムで何か代替のものをやってくれないかの相談はこのところ受けています。新型コロナが長期化した時の準備の意味もあります。Skepe、テレビ会議に否定的であった私ですが、このような人とあってはいけない状況は、今後も原因は別でも起きるでしょう、いや必ず起きます。

そうだとすると、Skype、テレビ会議を上手に使い、対面研修に準ずるような、研修、ワークショップ、コーチングを考えるチャンスでもあります。一刻も早い新型コロナウイルスの終息を願うところですが、災い転じて・・、転んでも・・、で置かれた状況の中で、ベストな方法を考え実行しなければいけません。私たちはプロなのですから、新型コロナウイルスを恨んでばかりではなく、そんな状況の中でクライアントの求めるニーズをつかんで、対応していかなければなりません。それが新しいビジネスにつながります。

それでは、チュース!!

592.受ける側がありがたいティーチング

マネジメント育成研修をしていると、ティーチング、コーチング、権限委譲が定番です。少し誤解されているのは、これらは同時並行ではなく、受けてのレベルによって適正なものが変わるということです。仕事なら入社から5年くらいは、ティーチングで基礎を教え、5年から10年くらいは、自分考えさせて伴走するコーチング、10年以上は基礎的仕事ができるという前提で、権限委譲(エンパワーメント)で上司の仕事を引き渡していきます。その段階ごとにステップを追って確実に進めることが大事です。

きょうは、仕事の話ではなく、私が最近始めた、社交ダンスとドラムの先生が入門者の私へのティーチングで感じたことです。ティーチングは先生と生徒の関係ですから、先生の持っている技術、スキルを受けての生徒に早く、確実に生徒ができるようになるまで指導、フォローしていくことです。複数の先生から指導を受けると生徒にとって良い先生と悪い先生がかなり明確になります。人間同士の相性もありますが、それはひとまずおいといて、ティーチングの良い悪いの話です。

悪い先生の例からいきますと、ある社交ダンスの先生は、プロですから技術、スキルは持っていますが、最初にステップを見せてくれるとそれでおしまいです。あとは自分で教室提供の動画や先生を見てできるようになりなさい。どうすればそれができますかと聞くと、5年もやればできるよ、とか10000回もすれば自然に覚えるよ、レベルアップの壁はそうすれば越えられますかには、くぐればいいよとか、入門者から見ると何とも不親切で、乱暴、雑な先生ですぐにやめようかと思ってしまいます。ドラムの先生は、もちろんうまいのですが、自分のドラムの哲学、美学を持っていて、入門者だろうがなんだろうが、そこを目指して自分で鍛えていかなければならないと、こちらのわからない専門用語を多発して始めに暗く、重く言ってしまい、自分の理想と比べた否定からなので苦痛のレッスンになってしまうのです。

良い先生は、社交ダンスでは、見本を見せてくれたあとに、ダンスステップの具体的なやりかた、ポイントを入門者にもわかる言葉で段階を追って説明、実演してくれて、生徒にやらせて、できたところは、ほめて、できないところはできるように丁寧に教えてくれます。ドラムでは、とにかくドラムを好きになりましょうと、私の好きな曲をかけてたたかせてくれて、シンプルなできるスキルから、順番に丁寧に指導してくれます。ドラムは、両手、両足が別な動きをするので、頭の命令と手と足が同期せず最初は、ぐちゃぐちゃになります。でも良い先生は、それは誰でもそうなので、時間をかければ大丈夫と励まし、できるようになるとほめてくれ、入門者でも楽しくなります。

両者の違いは、習うものは違ってもおなじです。ティーチングの基本は、①見本をみせて、②そのやりかたのポイントをわかりやすく説明します、③生徒にさせてみせて、できているところはほめ、できていないところは、できるまで丁寧に生徒の立場に立って指導することです。それから、その生徒の力量、目指しているゴールを理解して、個々にあった指導をしていくことです。もちろんグループレッスンでは難しいですが、生徒の立場、目線まで先生は降りてこないといけません。自分の理想だけ言ってすませて、悪いのは生徒にしてしまうのは、先生が楽をしてます。目的は生徒が上達することです。おそらく、繁盛しているスクールや先生はこれが、わかっている人たちです。あるレベル以上のプロのレベルは先生には必要ですが、それと教えることは別物です。「名選手が必ず名コーチにはならない」またその逆もあるということです。そもそも趣味で初めている人は、プロを目指しているわけではないので、レッスン自身が楽しくなければすぐにやめてしまうのです。

それでは、チュース!!

 

591.自由にモノが言えないのが、日本組織の息苦しさ

サラリーマン時代、私のいた会社、部門は、超トップダウンの階層社会で自由にモノを言うとたいへんなことになりました。その当時人事部の発案で自己申告制度がスタートしました。しかし、それは上長経由で人事部に報告されますから、上長にとって都合の悪いことは、全部上長の都合の良いように強制的に命令で書き直しになります。そうなると、やらされ感ゼロで、いつまでもこの職場にいたいということなります。それに抵抗などできる社員などいません。バツバツの評価になりますから上司の言いなりです。人事部の先輩から直接、私に質問があり、あの自己申告制度はいいだろうと自慢するので、上司が全部都合よく修正するから意味ないですよ、と気を許して言ってしまいました。その先輩も全く空気の読めない人で、私の上司に真正直なクレーム電話を入れ、そのせいで、私はその鬼上司から日曜日夜3時間電話で怒鳴られ、翌日午前中応接で絞られました。上司からなんで俺を陥れるのか、俺が出世できなかったらお前のせいだ、一生恨んでやると脅迫してきました。この人は極端でしたが、こんなパワハラも日常です。そんなパワハラ帝王でも、代取専務までのぼり詰めましたから、当時は会社も業績さえ上げれば、管理職の部下へのパワハラは黙認というか、厳しい部下指導とすり替えて奨励していました。この状態では、自由な発言など全く無理です。

あれから40年がたち、時代は変わり、きちがいのようなパワハラはなくなりましたが、自由にモノが言えない風土はあまり変わっていません。私のワークショップのグループ自由討議では、ここだけの話で外には出ないというと、どの会社、組織、階層でも本音ベースの話がどんどん飛び出し、相互作用で実に良い楽しい議論ができ、問題の本質まで、追い込み良い対応策も必ず出てきます。残念なのは、それが研修という場で終わってしまい、言わばガス抜き効果でしかないことです。みんな最後の感想で、こういう議論が自分の職場でもできるといいのだけど、とため息つきながら言う人が多いのです。それは、何故ですかと管理職の方に聞くと、長い間の会社の風土です、と会社の責任になります。その管理職の人が会議できょうは自由に発言しようと言っても、部下は何も言わないんだよと、今度は部下のせいにします。結局、自職場が活性化しないのは、他責で終わってしまうことがほとんどです。だから組織、会社は変わらないのです。

私はそういう時、確かにモノを言わせない上司では問題ですが、上司が納得するような言い方はありますよといいます。何を言うかも大事ですが、どう言うかもそれ以上に大切です。それから、部下がモノを言わないのはあなたが、そういう環境を作っているからと言います。部下から見たらあなたは怖いのです。何か言ったら仕返しされるかもという気持ちを持っているのです。そういう時は、気楽な雑談を管理職のあなたからして、雰囲気作りをしないと駄目なことを言うのですが、なんでそこまで上司が部下に気を使うのかと怒る人もいます。が、その人はその時点でNGです。世の中そういう時代なのです。

ただ、やはり日本人の議論嫌い、敬語に代表される序列を明確にしてからの発言は根深いものがあり、そう簡単には変わりません。グローバル化が遅れる最大の原因もここです。でも自分が変われば、自職場は変わり、自由な発言が出て、部下、後輩も元気に仕事に取り組むことも真実です。まず自分からです。

それでは、チュース!!

590.地元大好きでも一度は都会に出て刺激をもらうのもいい。

ちょっと前のNHKの朝の連ドラの「あまちゃん」以来、地元ブームが起きて、地方の町で生まれ、学び育って、地元で就職して、地元の人と結婚、家族を作って穏やかに過ごしたいという人たちが、男女問わずに増えています。無理して、親に経済的負担をかけて東京、大阪に出て、大企業に就職、住宅難の中でローンを抱え、長時間の通勤で疲れるより、のんぶり気心の知れた仲間とゆるりと暮らし、親の家の空き地にでも家を建てれば安く済むし、親も喜んでめでたし、めでたし、言うことないのですが。

地方の企業の研修や、大企業でも地元優先で配属され、その地域から出ないで一生終わる人もたくさんいます。大企業の給料で地方暮らしなら豊かな生活もできます。その人たち相手に、コンサルや研修をしていると、現状に満足していて、このままこの生活が続くことになんの疑いも持っていません。それは幸せなことなのですが、なにかひとつ物足りません。自分のできる範囲のことをそつなく、こなしてはいるのですが、枠を破ったり、殻から抜け出るような迫力、エネルギーは感じません。もともとないのではなく、無理にその枠、殻の中に自分を抑え込んでいる気がします。そのほうが、目立たないし、上司からもねたまれないし、厳しい仕事も来ませんから、たぶん楽なのだと思います。私のように、自分のポテンシャルを生きているうちに出しきること一番と考えている人間の話は、彼らにはヒットしません。まあ、そんなに頑張らんでも、私が動いても世の中も、会社を変わりませんよ、言われてしまいます。確かにそれはあたっています。しかし、せっかく頭良く、健康に生まれて来たのに、それではもったいない気がします。

地方と都会の違いは刺激です。優秀なハングリーな上昇志向の強い連中が全国から集まってますから競争社会です。それから情報の多さ、発信力が圧倒的に違います。特に東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリとならぶ、大都市です。東京には江戸っ子はいますが、ほとんどが地方出身者、田舎ものの集まりですから、地方都市のように地元出身者が幅を効かすような面倒くささはないし、どこの出身、何をしてきたのか、年齢、性別、LGBTも気にしなくなりつつあります。自分の力を試したいなら、刺激の多い大都市に一度出ることをお勧めします。もちろん合わなければ、すぐ地元に戻ればいいと思います。もし可能なら日本から飛び出して、先にあげたような世界的大都市に一度住んで見るのは、さらに刺激的です。観光旅行でちらっともいいですが、住んで見るといろんなものが見えてきます。まったり、もったりもいいですが、若い時、いや若くなくても刺激を求めて、動きましょう。何か良いことにぶちあたりますよ。

私の田舎、旧清水市(静岡)は気候温暖で、風光明媚、仕事も豊富にあるので、学生時代に東京に出てきても、8割は地元に帰ります。だから東京に残っていると、少し変わり者にもみられてしまいます。まあその通りですが。

それでは、チュース!!

589.楽しく生きる人に、人は集まってくる

リーダシップ研修をしていて、リーダーとは、自然とこの人と一緒に目標に向かいたい、あの山を登りたいという、気持ちにさせる人で、そのためには、リーダーがその目標に行きたい、この仕事をやりたいという、熱烈な意思を持っていること、とレクチャーしています。確かにその通りですが、長いこと仕事をしていると思います、良いリーダーは、自分の人生を心から楽しんでいます。仕事だけでなく、自分の趣味も、家族も、友人関係も、社会貢献も自分に合った形で、時間を使います。自分のお金も使います。もちろんビジネスマンですから、仕事はできて成果を出せなくては話になりませんが、ひとつ抜けた経営者は、仕事だけでなく、あらゆる方面に興味を持って、活動して、新しいことを楽しんでします。修行ではなくです。そういう人は、近づくとプラスのオーラを発散しているので、みんなも楽しい気持ちになります。お金の使い方もうまいです。稼いだ金は社会還元しています。逆に、マイナス・負のオーラを出しまくって、権限はあるのに嫌われている人もけっこういます。たいてい、人の悪口、批判ばかりで、自分は不幸と言っています。全部他責です。お金はあるのにせこい、ケチなひとが多いです。そばにいて楽しくないのです。

ある競馬好きの人から聞いた話ですが、20~30前まで、日本の競馬馬は国際的に見ると強くなかったそうです。ある有名な調教師が本場、英国に留学したときに、そこのプロから、馬の調教を学ぶ前に、人生を楽しく生きろと言われたそうです。つらい人生を送っていると、馬にも厳しいだけで、つらくあたるから、馬も委縮して本来のポテンシャルが出せないという理論です。その調教師は日本に返って、自分をまず楽しくしてから、馬に接っしたところ、本来の力を出し切る馬が増えて、日本の競馬馬は強くなったそうです。ちょっと盛ってあるかもしれませんが、いい話です。別に馬ではなくて、若い日本人の潜在能力を十分に発揮させようと思ったら、まずその上司が、ハッピーに生きていなくてはなりません。日本の厳しいタテ社会では、夢物語に見えますが、そこに真実があるように思います。まず自分から、楽しく生きることです。私は実践しているつもりです。でも欧州の時は、それでいいと言われたのに、日本では、そねみ、やっかみが、残っていますから、あいつ楽してるという批判は覚悟しないといけません。

それでは、チュース!!