先日、私のブログを毎回読んでくれている信頼、尊敬する先輩から、「君の考えは、反権威、反権限で一貫していてぶれなくていいよ」、とお誉めの言葉を頂きましたが、私としては、それはちょっと違うのだけど、という困った心境になりました。私は、サラリーマン時代に卓越した技術を持ち市場で圧倒的な優位な会社にいました。そこはトップダウンがあたりまえ、その上意下達で業績はどんどん上がっていました。下位のものが上司にもの申すなどご法度で、そんなことをしたら即刻はずされる場面を多く見てきました。会社で自由な発言などできないのは普通のことと思っていました。堅苦しさや閉塞感はありましたが、他社での経験もないので会社はそういうところで、お金をもらって生計も立てているので違和感はありませんでした。ただ、私の上司は少し行きすぎていて、「自分が考え指示するからお前たちは考えるな、手足として動けばいい」と言い放っていました。軍隊方式ですが、考えなくていいのは楽なところもあります。ただ長時間肉体労働だけすればいいのです。無駄がなく効率的でもあります。しかしその時、仕事を通しての自分の成長はありませんでした。そしてこの方式がうまく回るのはビジネスモデルが固定していて単純繰り返しの仕事でも良かったいい時代です。
サラリーマンを辞めた後、完全ボトムアップ、フラットなコンサル会社で働きました。そこのオーナーは、権威、権限によるマネジメントを否定し、役員たちにもそうでないマネジメントをするように指示していました。そこの社員はフラットでわきあいあい、優しく穏やかで実に居心地に良い職場でした。しかし困ったことが起きます。職制がないので、上からの指示で部下は動かなくても良く、自分の内発的動機が生まれるまで嫌いな仕事はしなくて良いのです。社員は全員フラットですから、先輩が後輩に仕事の指導をすることはできません。そんなことをしたらすぐに下から反発されて進みません。私が経営を任されていた時、やはり数字を出さなくてはいけないと思い、いろいろ上から優しく指示、命令しますと、「あなたって資本主義的、この会社の理念に合わない」、と予想もしなかった批判もされました。たぶん会社のマネジメント層は社員の敵であり、自分たちは社員の側に立つのが正義と思う人が多数だったと思います。それでも受注が続いていくのはそういうニーズが社会、会社にあるのだと思います。
両方のマネジメントのかなり極端な会社を経験しての私の結論は、会社では職制は方針、戦略の浸透、定着のためには必須でそれを実行していくための、権限、権威もなければ会社は動かないということ。職制を否定、フラットな組織に近づけた会社は、方針、戦略が浸透せず、部下は上司の言うことを無視するので、緩んだ甘い会社になってしまい、業績が低迷してしまいます。そういう会社を現実に見ました。無政府状態です。社員は自分に都合の良いように好き勝手やるだけです。それはやりすぎです。私は、社員でも絶対服従ではなく、会社や上司の言うことに、質問、意見、議論を自由にさせることは必要です。しかし最終決定は上司、会社にあることは明確にしてから行なわないといけません。そうしないと会社は機能しません。やはり、組織、会社には、権限、権威は必要です。
それでは、チュース!!