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418.海外交渉事では、Noと言って引く勇気と、いざとなったら戦う勇気が大切

海外での交渉事で大事なことは、不都合なことには正々堂々とNoと言い、決裂、撤退もあるという引く勇気を持つこと、それといざとなったら戦う勇気、気迫を持つことです。これはビジネス上の話で戦争をしろということではありません。日本人は争いごとを嫌うので、すぐに妥協案や譲歩、落としどころの話をすぐしがちです。相手もそれを理解していて、日本人は優しい、おとなしい、丸く収めたがる、強く出ればすぐに引き下がる、良い条件を引き出せると思っています。一言でいえばなめてきます。またなめられています。私は海外ビジネスではおもてなしは不要、なめられないことが最重要と常々言っています。言われたらすぐに言い返すことが重要で黙っていたら相手の主張を受け入れたと判断され状況をさらに悪くします。

特に欧米系、中国では、最初に巧妙に恫喝、威嚇してくるのが常です。それが相手の常套手段、シナリオです。ここでひるんだり、うろたえてはいけません。まず事実に基づいたきっちりした理論武装は必要です。感情的になってはいけませんが、自分は正しいという信念のもとで、目に見える強い意志、気迫、ヤル気を出すことは必須です。妥協、compromiseのステップはその後です。まずは強気で戦わないといけません。これは英国で聞いた話ですが、英国の子供は口論になったら子供同士でも最後の言葉を自分が言え、相手に言われて終わりにするなと教育されています。思いやり、やさしさを第一に子供に教える日本とは大きな違いです。

前号ブログの最後に述べた、「富士フイルムは米ゼロックス買収を差し止めた米NY裁判所の仮処分決定を不服として上訴する方針を発表しました。米ゼロックスと大株主の和解を承認しない異議申し立てもするようです。買収計画推進のため法廷で徹底抗戦する」のニュースを聞いてきょうのテーマにしました。富士フイルム古森会長は正義のために戦うことを全く厭いません。むしろ好きです。特に相手が欧米系になるとよりファイトを燃やします。私が推測するこれからのステップは①上記の上訴を行い、勝った場合は従来買収案通りに実施していく。現在の経営陣は買収反対派ですから、彼らとの交渉はより過酷なものになりますが、時間をかけても進めると思います。②上訴を行い負けた場合は、相手は株主への配当増額や富士フイルムからの出資を要求してきますが、それは断り、この買収案件はなかったことにすると思います。しかし米ゼロックスは現在の経営悪化は続き、新経営陣もその対応策はありませんから、富士フイルムに引かれると実は困るはずです。米ゼロックスから買収案での条件闘争が続きますが長引けば、株価は将来不安から下落し株主からの不満、突き上げが増大してきます。③買収案が白紙に戻るか、両者の条件闘争が不調に終わった場合、富士フイルムは米ゼロックス旧経営陣と合意した買収契約不履行の損害賠償を米ゼロックスに求めるでしょう。富士フイルム、富士ゼロックス、米ゼロックスの関係は従来に戻り、富士ゼロックスの株主の75%が富士フイルムで25%が米ゼロックスのままです。富士ゼロックスの独自開発、研究、生産、営業部門は残り、1万人のリストラはなくなります。

富士フイルム古森会長は戦う覚悟はできており、Noは日本人経営者では一番はっきり言える人だと思います。「Noと言える日本人」の著者、元ソニーの盛田会長と同じくらいできます。
私は買収計画が中止になった時は、古森さんの面子がなくなることが一番大きく、損害賠償金は入るし、富士ゼロックスも従来のままなので大きな問題は短期的には起こらないと思います。しかしすったもんだの上で、富士フイルムと米ゼロックスが買収合意できた時、その後の米ゼロックスのマネジメントを日本人富士フイルム幹部役員、社員がしていくことは至難の仕事です。ただでさえ米国老舗大企業のマネジメントはたいへんなのに、ひと悶着あって人心荒廃の可能性の高い米ゼロックス役員、幹部社員、社員のマネジメントはさらに難易度は高くなっています。この進展を注意深く見ていきたいと思います。
それでは、チュース!!