タグ別アーカイブ: 米ゼロックス買収

432.冨士ゼロックスのリストラと社員のモチベーション

冨士フイルムHDは米ゼロックスの買収合意破棄による損害賠償1100億円と合意破棄違約金200億円を米国の裁判所に提訴しました。外人に舐められることの大嫌いな古森会長ですし、提訴は正当です。しかしアメリカでの裁判ですので公正に行われるかは疑問です。この買収の成否に関わらず、1月に発表された冨士ゼロックスの1万人のリストラは粛々と進行し、先日新潟事業所の閉鎖も発表されました。これから早期退職希望者の募集も始まっていくでしょう。そして先週冨士ゼロックスの社長交代の発表がありました。冨士ゼロックス生え抜きの社長から古森会長の右腕として冨士フイルムの大変革を実行したT氏に変わりました。T氏は冨士フイルムにしては珍しく10数年前に請われて他社から入社しました。冨士フイルムの第2の創業の表看板は、銀塩フイルムから脱却、ドメインの大変革であり、医薬品、化粧品への華々しいデビューでしたが、その裏で組織統合、リストラ、希望退職の実施という、長年苦楽をともにした仲間への情を感じてしまう生え抜き管理職、役員ではできない裏の重要な仕事で次々と成果を上げトップから高い評価を得ました。そして冨士フイルムHD副社長になり今回冨士ゼロックスの社長に抜擢されました。私は直接お会いしたことはありませんが、彼と一緒に働いた富士フイルムの友人たちの話では、今までの富士フイルムにはいないタイプのすごいキレ者で、権限を自分に掌握することがたくみで、仕事の目的のためなら摩擦、軋轢はいとわない強靭な精神な人のようです。これから本番になる冨士ゼロックスの構造改革(リストラ)の切り札です。

冨士ゼロックス社員は、1月のリストラの発表以来、モチベーションダウンが始まっているという話を聞きます。冨士ゼロックスと一緒に仕事もしましたし、冨士ゼロックスの友人たちからの話では、冨士ゼロックスは創業以来、明るく、自由闊達で、風通しが良く、マネジメントも社員のモチベーションに気を使い良い環境に配慮してくれた会社でした。だから愛社精神旺盛で社員は会社を信用、信頼、大好きだと言う人が多かったです。

一方の冨士フイルムは、私は古森会長が部長時代から、彼がピラミッドの頂点になる組織しか知らないのですが、会社・上司は社員にミッション・仕事(should)を与えれば、社員、管理職は自分でどうやるか(how)考え、スキルは自分で身につけ、ヤル気(will、motivation)は個人の責任で、会社や上司が関与、引き出すものではないという厳しい組織風土でした。それでも会社の高ブランド、高収益、卓越した技術力、高給与でしたから、優秀な新人は大勢集まり問題なくうまく機能し続けました。苦しくてもみんな上を目指して頑張るのです。冨士フイルムにはYMO「いまに、みていろ、おれだって」という言葉があって先輩社員から若い時は何があっても我慢するのだと言われました。つまり冨士ゼロックスと富士フイルムは全く違う組織風土の会社だったのです。

しかし時代は変わりました。これからの冨士ゼロックスは冨士フイルム流のやりかたで統治されていくでしょう。冨士ゼロックスの社員はもはや古き良き昔を懐かしがっていることはできません。冨士フイルムのやりかたに順応していくしかないのです。それでは自分のモチベーションが維持できないと思う人は新たな境地に出て行くしかないです。自分の能力の世間的価値を把握し、自信があるならチャレンジして出ていけば良いと思います。なければしばらく自信がつくまで様子見です。現実を直視して対応していくしかないです。短気を起こしたり、やけになってはいけません。まずは自分の生活を守り、維持していかなくてはなりません。

このような、M&A、リストラの影響は米ゼロックスでも同様に起きますが、社員モチベーションの問題はおきません。欧米での社員平均社歴年数は5~10年であり、管理職、マネジメント、CEOは、ほぼ転職組です。ポジションを上げるのは転職、ヘッドハンティングが常識です。今回の買収も日常よく起こることで自分のポジション、給与アップのチャンスととらえるでしょう。冨士フイルムと買収契約をした元米ゼロックスマネジメントは、高額退職金を得てほぼ退職してますから、これから管理職、社員も同じことをするのが普通なのです。そこはビジネスライク、ドライに対応します。

冨士ゼロックスは今までは良い社風で、居心地が良かったのです。しかしもうそこには戻れません。これからは厳しい言い方ですが、自分のモチベーションは会社に頼らず自分で上げていくしかないのです。

それでは、チュース!!

428.富士フイルム、米ゼロックス買収のせめぎ合い

昨日午後、富士フイルムHDの古森会長は産経新聞社などとの共同インタビューで、「米ゼロックス買収は、締結した買収契約が履行されなければ損害賠償も辞さない。米ゼロックスからの1株あたり40ドル引上げでの買収提案はNoと明言。引き続き交渉は続けるが、まだ新提案はない。ソロバンが合わずにこの膠着状態が数か月から半年続けば撤退もありうる。」と述べました。実に明快に、ロジカルな交渉について期限を設けて述べました。戦い上手です。相手の脅しにビビりません。ダメならNoと宣言しました。こういう交渉過程までオープンにするのはややもすると閉鎖的に見られる日本企業としては珍しいことで、富士フイルムHDの株主、社員、関係者にとても良いことです。

今回の買収が頓挫しているのは、米ゼロックスの、モノ言う株主主導による買収契約破棄でその目的は、いかに株主の取り分を増やすかです。もし本当に富士フイルムが買収撤退するとなると一番困るのは、米ゼロックスのモノ言う株主でしょう。買収先としてファンドに声をかけていますが、ファンドが買ってもそのファンドはまた、富士フイルムに売りにくるでしょう。同じことです。これから、双方で激しい交渉が続くでしょう。古森会長が場合によっては引くという選択枝を表明したのは相手にとっては脅威です。そして古森会長の表情からは冷静に引くこともあるぞという決意を感じました。

私は本件について、391、393、417、422号で書いてきましたが、この買収は戦略的な判断は正しく、その手法も富士フイルムにとっては効率的、効果的ですし、暗礁に乗り上げてからも、会長、社長とも冷静に状況判断して的確な対応をしてきました。買収撤退案は私も頓挫の最初からありだと思っていました。ですから、撤退して元に戻ってマネジメントを続ければ良いだけの話です。

しかしひとつだけ撤退すると富士フイルムに困ったことが起きます。それは今回の買収によって、1万人のリストラが発表され、その作業が進んでいる富士ゼロックス社員のモチベーションです。知人のゼロックス幹部社員からの話では、今回の買収は大きな戦略論では正しいと優秀な富士ゼロックスの社員は思っているようです。しかし社員のモチベーションの低下は避けられず、優秀な社員から辞める人がいるようです。まあこれはM&Aとリストラの過程では当然起こることで想定内なのですが、半年後に買収撤退が正式に決まると、その時の富士ゼロックスは昔のそれとは違っています。そんなことは優秀な富士フイルムマネジメントはわかっていますし、米ゼロックス経営陣もそれは承知の上で、富士ゼロックスから情報をとっているでしょう。だから簡単に富士フイルムも撤退はできないと米ゼロックスも踏んでいます。双方の難しい交渉がこれから、いや既に始まっています。
それでは、チュース!!

422.富士フイルム、米ゼロックスの会社の目的の違い

富士フイルムの米ゼロックス買収については、過去のブログ、393.418.417で書いてきましたが、今年1月の買収合意発表以来、二転三転して、5月13日に米ゼロックスが買収合意解消を発表して振り出しに戻りました。先週5月19日、富士フイルムホールディングの助野社長は、買収合意は有効であり法的手段も辞さない、合意した買収計画はベストであり、買収を継続すると発表しました。両社あい譲らず平行線の状態が続いています。

そもそも一旦合意した買収契約について大株主が反対、旧経営陣を退陣させ、新たな経営陣を送り込みます。米ゼロックスの判断基準は株主にとっての企業価値が最大化であるかどうか、また経営陣に取って最高の報酬が得られるかどうか、簡単に言えば、どうしたら関係者にカネがたくさん入るかです。欧米の会社は、株主の所有であると明言され実行されます。富士フイルムと買収合意した旧経営陣はその富士フイルムとの買収合意の見返りとして多額のボーナスを得ることを約束をしました。大株主はその買収スキームを見てそれは会社(米ゼロックス)の価値を安く見過ぎている。買収するなら株主に応分の分け前をもっと与えろということで、買収合意破棄の訴訟を起こし、その裁判で実質的に勝訴しました。旧経営陣は不服として、上訴しましたが、株主から退陣条件に多額の金銭提示があり、それを受け入れ株主と和解し、正式に買収合意を解消しました。つまり社会的な価値のある、名門企業といえども、株主と経営陣の金銭的な思惑、どれだけ個人的に自分のところにお金が入るかだけで会社は動くのです。

一方、富士フイルムは、古森会長の会社としての拡大志向、量的に大きなものに対する執着、それを支配、統治する願望が判断基準になっていると思います。売上2.1兆円にもなる、事務機、複写機メーカーとして世界最大の企業をマネージする魅力はかけがえのないものです。古森会長は、100億、200億の事業拡大にはあまり興味がありません。1000億単位の事業を考えると言うスケールの大きな経営者です。ですから、米ゼロックス統合は長年の夢だったので、今さら引くわけにはいきません。古森会長に個人的な金銭目的は全くないです。

これは戦略やM&Aの教科書に書いてある、日本の企業は、公器でありその存在、継続が目的であるが、欧米の企業は、株主の利益のための存在である、がそのまま具現かされているので不思議はないのですが、日本人の価値観としては、米ゼロックスは個人的なカネだけで動くの、従業員や幹部社員、取引先のことを考えないのと思うかもしれませんが、それは考えません。従業員や幹部社員もそう考えていますから問題ありません。彼らは買収が嫌なら辞めて次の職を求めていくだけです。

ちょっと引いて考えると、ゼロックスは過去の栄光の会社、業績は悪化し続けており、あえて不良債権を持つことはない、買収できたとしても金額は高騰、富士フイルム全体の経営に悪影響を与える、時間をかけて買収できても優秀な幹部社員、エンジニアは退社していて、もぬけの殻になっている、買収できても名門、プライドの高いアメリカ企業のマネジメントは難しく成功している日本企業はない、等々からこの買収案件は再考とも思うのですが、富士フイルムはお金はかかっても最後まで進めると思います。一度やると言った事は最後までやる会社です。そこが米ゼロックスの大株主の読みで、買収価格を交渉によって引き上げられると思っています。しかし長引けば株主が嫌気をさして売りにでるので、株価は下がります。彼らにしても交渉を長引かせるわけにはいきません。交渉駆け引きとしてファンドに売るとかの話もありますが、本気で買うファンドはないでしょう。

とてもタフな交渉ですが、富士フイルムの将来経営の分岐点になりますから、助野社長以下、実行交渉の役割はとても重要です。買収が暗礁に乗り上げたことに対してメディアから、富士フイルムが1円も出さずにこの買収合意をしたことに米ゼロックス株主が反発するのは当然、買収やりとりの富士フイルム担当と旧経営陣との株主軽視と見られるメールがリークして、脇があまい、M&Aのやり方が稚拙、乱暴とか批判されていますが、それは過去のこと、買収交渉の次のラウンドはこれから始まります。したたかに、粘り強く戦い、双方が満足する妥協点を見つけて欲しいと願います。

それでは、チュース!!

418.海外交渉事では、Noと言って引く勇気と、いざとなったら戦う勇気が大切

海外での交渉事で大事なことは、不都合なことには正々堂々とNoと言い、決裂、撤退もあるという引く勇気を持つこと、それといざとなったら戦う勇気、気迫を持つことです。これはビジネス上の話で戦争をしろということではありません。日本人は争いごとを嫌うので、すぐに妥協案や譲歩、落としどころの話をすぐしがちです。相手もそれを理解していて、日本人は優しい、おとなしい、丸く収めたがる、強く出ればすぐに引き下がる、良い条件を引き出せると思っています。一言でいえばなめてきます。またなめられています。私は海外ビジネスではおもてなしは不要、なめられないことが最重要と常々言っています。言われたらすぐに言い返すことが重要で黙っていたら相手の主張を受け入れたと判断され状況をさらに悪くします。

特に欧米系、中国では、最初に巧妙に恫喝、威嚇してくるのが常です。それが相手の常套手段、シナリオです。ここでひるんだり、うろたえてはいけません。まず事実に基づいたきっちりした理論武装は必要です。感情的になってはいけませんが、自分は正しいという信念のもとで、目に見える強い意志、気迫、ヤル気を出すことは必須です。妥協、compromiseのステップはその後です。まずは強気で戦わないといけません。これは英国で聞いた話ですが、英国の子供は口論になったら子供同士でも最後の言葉を自分が言え、相手に言われて終わりにするなと教育されています。思いやり、やさしさを第一に子供に教える日本とは大きな違いです。

前号ブログの最後に述べた、「富士フイルムは米ゼロックス買収を差し止めた米NY裁判所の仮処分決定を不服として上訴する方針を発表しました。米ゼロックスと大株主の和解を承認しない異議申し立てもするようです。買収計画推進のため法廷で徹底抗戦する」のニュースを聞いてきょうのテーマにしました。富士フイルム古森会長は正義のために戦うことを全く厭いません。むしろ好きです。特に相手が欧米系になるとよりファイトを燃やします。私が推測するこれからのステップは①上記の上訴を行い、勝った場合は従来買収案通りに実施していく。現在の経営陣は買収反対派ですから、彼らとの交渉はより過酷なものになりますが、時間をかけても進めると思います。②上訴を行い負けた場合は、相手は株主への配当増額や富士フイルムからの出資を要求してきますが、それは断り、この買収案件はなかったことにすると思います。しかし米ゼロックスは現在の経営悪化は続き、新経営陣もその対応策はありませんから、富士フイルムに引かれると実は困るはずです。米ゼロックスから買収案での条件闘争が続きますが長引けば、株価は将来不安から下落し株主からの不満、突き上げが増大してきます。③買収案が白紙に戻るか、両者の条件闘争が不調に終わった場合、富士フイルムは米ゼロックス旧経営陣と合意した買収契約不履行の損害賠償を米ゼロックスに求めるでしょう。富士フイルム、富士ゼロックス、米ゼロックスの関係は従来に戻り、富士ゼロックスの株主の75%が富士フイルムで25%が米ゼロックスのままです。富士ゼロックスの独自開発、研究、生産、営業部門は残り、1万人のリストラはなくなります。

富士フイルム古森会長は戦う覚悟はできており、Noは日本人経営者では一番はっきり言える人だと思います。「Noと言える日本人」の著者、元ソニーの盛田会長と同じくらいできます。
私は買収計画が中止になった時は、古森さんの面子がなくなることが一番大きく、損害賠償金は入るし、富士ゼロックスも従来のままなので大きな問題は短期的には起こらないと思います。しかしすったもんだの上で、富士フイルムと米ゼロックスが買収合意できた時、その後の米ゼロックスのマネジメントを日本人富士フイルム幹部役員、社員がしていくことは至難の仕事です。ただでさえ米国老舗大企業のマネジメントはたいへんなのに、ひと悶着あって人心荒廃の可能性の高い米ゼロックス役員、幹部社員、社員のマネジメントはさらに難易度は高くなっています。この進展を注意深く見ていきたいと思います。
それでは、チュース!!

417.富士フイルム 米ゼロックス買収の誤算

5月1日にゼロックス大株主ディーソン氏が起こしていたゼロックスの買収差し止め訴訟の仮処分がNY裁判所から発表され、富士フイルムへの米ゼロックス売却を決定した米ゼロックスCEOの決定は会社に不利益を与えるとして仮処分で無効とされました。米ゼロックス経営陣は上告して戦う決定をせず、株主との和解を発表、訴訟を取り下げるかわりに株主の推薦する6人の取締役受け入れとCEOを含む7人の現経営陣の退陣、富士フイルムとの合意の解消、修正を発表しました。米ゼロックスは事実上買収合意を放棄したのです。

ブログ391.富士フイルムの野望実現、393.富士フイルム、ゼロックス買収の勝者はゼロックス経営陣、で述べたように、この買収は、大義名分は別にして富士フイルムの会長の野望とゼロックスCEOジェイコブソン氏の個人的利害が一致した蜜月関係の中で成立しました。この買収合意反故は、富士フイルム大変革を成功させた古森会長にとって、初めての誤算、挫折だったと思います。大株主2人が買収反対訴訟を起こしても委任状決戦まで元CEOは戦うと読み、決戦になれば勝てると踏んでいたはずです。しかし欧米、特にアメリカの株主は日本の持ち合いの株主と違い、会社は個人株主のものと確信しています。もの言う株主です。そこが欧米の大企業のマネジメント経験のない富士フイルムは読み違えたかもしれません。

銀塩写真フイルムが消滅した時、富士フイルムが勝ち残り、コダックが消えた違いは、莫大な内部留保・キャッシュの差が大きかったです。日本の株主は会社持ち合いで内部留保を将来の研究開発、投資のために許しますが、アメリカの株主は許しません。キャッシュがあれば株主配当を強く要求、実現させます。富士フイルムが勝ち残れたのも内部留保からの大胆な研究開発、40社のM&Aができたのです。古森会長のモットーは、乾坤一擲の勝負に勝つこと、自分にはその勝負に勝つ強運を持っていること、ビジネスはパワーゲームである、です。そのモットーで今まで勝ちきってきましたから今回の買収合意の反故は大誤算です。許せません。

これから、米ゼロックスとの交渉は非常に難しいものです。古森会長は旧経営陣との合意は一度OK出したのだからそのまま履行せよと主張しますが、新経営陣は買収自身がNoですから、双方合意の妥協点を見つけるのは難しいことに間違いないです。米ゼロックス新経営陣の要求はプライドの塊で面子を何より大切にする古森会長は飲めないことでしょう。アメリカの魂とも言える会社の買収、ロックフェラーセンター、ペブルビーチのゴルフ場、ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントなどはなかなかうまく行きません。ゼロックスもアメリカ代表企業として燦然と輝いていました。その企業が日本の会社の軍門に下るのはアメリカ人にとって感情的な反発もあると思います。裁判所の判定はそういうところも加味されていたと推測します。

しかしこの買収案件が最悪、なくなっても元の関係に戻るだけです。富士ゼロックスの親会社の株主として富士フイルムが75%、ゼロックスが25%の関係に戻るだけです。それぞれが従来のフィールドで独自に頑張っていけば良いだけです。不謹慎ですが、富士フイルムにしても日本式のやり方では、アメリカの名門企業をマネージしていくのは大変です。

米ゼロックス買収発表の席上、古森会長は世界の事務機市場を変えていく、富士は一円も自分のお金は使わないでこの買収を成立させたと自画自賛していました。絶頂でした。ですから今、古森会長は怒り心頭であること間違いなく、連休中ですが関係者全員が出社して対応策に苦慮しているはずです。富士は原案通り、米ゼロックスは解消の立場ですから、決裂していくでしょう。米ゼロックス経営陣はそれを望んでいますから、話し合うにしても法外な要求をしてくるでしょう。富士も上訴するか、契約破棄の訴訟を起こすかもしれませんが、ますます関係は悪化しますし、米ゼロックスはアメリカで戦う訴訟は勝てると思っているでしょう。相手が日本の会社ですから。
これがリアルで過酷なグローバルビジネスです。古森さんはよく私にグローバルビジネスの相手は利害だけで動く、絶対に相手を信じるなと言っていました。今回は信じた相手が株主からの訴えで、自分を裏切りあっけなく白旗を上げたのですから相当なショックです。古森さんは外見、豪放磊落、強面にみえますが、内面は繊細、デリケートで気にするところもあります。そして激高しやすく、高齢ゆえにとても心配です。きょうの富士フイルムの米ゼロックス買収頓挫は、グローバルM&Aの難しさを物語っています。

このブログを書き終えたところ、たったいま富士フイルムは米ゼロックス買収を差し止めた米NY裁判所の仮処分決定を不服として上訴する方針を発表しました。米ゼロックスと大株主の和解を承認しない異議申し立てもするようです。買収計画推進のため法廷で徹底抗戦するようです。古森会長の強気は健在です。まだまだあきらめないようです。

それでは、チュース!!