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370.上からトップが下りてくる会社、組織は変革、新規事業、危機管理は難しい

日本には親会社からアサインされてグループ会社のトップになる人、監督官庁から関連法人に天下りするトップがたくさんいます。その方たちは、親会社や元の官公庁で優秀な実績、マネジメント力を評価され、それぞれのトップに任命されます。彼らは優秀な実務家であり官僚です。だいたい任期は4年、大きな役職としては、そこが最後のご奉公の人がほとんどです。彼らの特長は、ここで大過なくすごしたい、何事もなければそれで良いと思っている人たちです。任期4年のうち最初の1年は組織に慣れるため、業務や人と顔を知るためにかかります。最後の1年はアメリカ大統領のレイムダック(再選されない大統領で、残りの任期をただ平和に過ごす)状態で退職に備えて何もしません。ですから実質的には活動的に働けるのでは、中の2年だけです。

しかしこの2年では、組織変革には短かすぎます。新規事業は種を植えるだけで、収穫期には自分不在で投資した経費だけ任期中の収益を悪化させます。危機は何か感じたとしても、自分がいるわずかな間は何も起こらない、起こらないで欲しいと思って緊急な対応、是正策を取りません。せめて簡単な暫定策でお茶を濁します。つまり任期4年中の2年では中長期的なことは何もできないのです。

私の戦略研修では自社のヒストリー分析を行い、過去の自社大きなターニングポイントをあげてもらいます。大きなターニングポイントは、新規事業の創出、新規市場への進出(主に海外)、上場、などです。マイナスでは、どうしようもない大きな災害、そして不祥事も

あります。トップが上から下りてくる会社は自社が自らターニングポイントを作ることをしませんから、長きにわたって小さな製品開発や、小さな市場進出しかありません。つまりトップは平穏無事に4年を全うしたいのでリスクを取らないのです。確かにそれは、その4年だけ見れば問題ないのですが、それが何代にもわたり数十年その状態が続くと、急激な世の中の環境に取り残された、ゆでがえるの会社になってしまうのです。それは本当に危険なことです。しかし親会社や、監督官庁も何もしない、おとなしい、不祥事を起こさない保守的な人を送り続けているのです。もちろん危機になったら親会社が面倒みてくれるという信頼感、安心感はあるのでしょうが、今は親会社も必死ですから、ほっておかれる可能性も高いです。ですから何もしなければその会社が坐して死を待つ状態は、トップ通しは本当はわかっているのだと思います。ただ自分の任期の間はその状態は来ないと思っているのです。これはかなりトップのエゴのような気もします。

そこで働く、優秀な社員、職員は、自分の会社、組織の将来へは期待できないとあきらめ、元気で能力のある人は転職を考えるでしょう。日本には、グループ会社、各種法人がたくさんあります。下から生え抜きでトップになる人がいれば、状況はかなり違いますが、それはレアケースです。これが多くの日本の組織の現実です。何かここに風穴をあけられると良いのですが、まだ良いアイデアはありません。

それでは、チュース!!

369.新規事業が出てこない会社は、いずれ消えて行く。

会社の寿命は30年といわれ、新規に事業を起こしても30年経つと、創業者とその仲間は年をとり、製品ライフサイクルのピークは越え既に衰退期に入っています。役員、社員の平均年令もあがり販売管理費も高くなり収益は悪化します。そのままだと倒産か自己整理に入っていきます。これが世の常、自然の流れです。では長年にわたって生き延びてきた会社は何をしているか。それは新規の事業を次々と生み出し世の中に出しているのです。私がいた富士フイルムも写真銀塩フイルムの突然の消滅で危機に瀕しました。ライバルであったコダック、コニカ、アグファは静かに市場から去っていきました。富士フイルムも危ういなか、化粧品、医薬品、また電子材料に活路を求めて生き残っていきました。

今、絶好調のキャノンは40年近く前は、銀塩カメラ、電卓、ワープロのハード中心で業績悪化していましたが、いまはデジタルカメラ+プリンター+高収益のプリンターインクで勝ち残っています。クロネコヤマトも40年前は大手顧客、特に三越が売上の半分を占める物流会社でしたが、いまや主に電子取引の宅急便の会社です。トヨタは明治時代は豊田式自動織機で世界を席巻しましたが、その財を来るべき自動車に注ぎ込み今日を迎えています。サントリーのビール事業も時間はかかりましたがスターに成長しました。長く生き残っている会社は、会社をかけての新規事業に挑戦し続け成功しているのです。

では、なぜそれができたか、それは研究開発に多大な投資をしてきているからです。製造業の一部上場平均で売上比4%が研究開発費の平均です。二部ですと2%です。これが成金のオーナー会社ですと研究開発費はほとんどありません。儲かった金はすべて自分の懐に入れてしまい贅沢な暮らしぶりを自慢します。私はそういう会社でも働きましたし、多くのオーナー会社の創業社長はHPでの見栄えのよい会社のミッション、ビジョンとは別に本音では自分の会社は私利私欲のためと豪語する人もたくさんいます。そういう会社の社員は実のところ悲劇で、将来のことを考えて転職しようとしていう人は大勢います。研究開発費用の多寡はマネジメント・社長の特権事項です。会社の将来はやはり社長が握っています。

自分の任期だけ利益を出しつくして高収入、退職金をもらおうとするトップと、将来の会社、社員のため自分はどれだけ種まきをするかに使命を感じるトップがいます。若い社員にとっては後者の社長はありがたい存在で、こういう社長は厳しいですが、多くの社員はついていきます。良い風土になります。このような研究開発は内部留保で行うのが一番やりやすく、だから会社は利益をださなくてはいけないのです。今はこの内部留保でM&Aをする会社もたくさんありますが、その時には国内外の会社をマネジメントする力が必要になってきます。なかなか日本会社は海外の会社のマネジメントする能力は欠けていて、大手のソニー、東芝、ソフトバンクなどでも失敗しています。海外の会社をマネジメントする力を持ったしたたかで、柔軟な人材が求められますが、まだ不足しているでしょう。

結論ですが、会社の将来は新規事業の創出にかかり、それは自前の研究開発力です。そこに予算をつけられるのは、経営者、社長だけです。やはり会社は社長によって決まってしまいます。

それでは、チュース!!

 

77.アメリカ市場での大失敗 P社向けプラズマTV用POFの話

きょうはアメリカ市場での新規ビジネスの失敗話です。まだ液晶 vs プラズマの争いが激しく決着のついていなかった10年ちょっと前、私は勤務していた会社で新規事業のプラスチック光ファイバー(POF)の北米市場での市場導入をしていました。私は英国から戻って後から入ったのですが、北米市場では一般家庭のリビングが馬鹿でかい、だから大画面のプラズマTVを壁にかけると、それからかなり離れたところにあるコンソールボックスとを有線で結ぶ必要がある。その時最適なのがプラスチック光ファイバー(POF)で細かい差別点は忘れてしまいましたが、性能、価格、融通性、で競合の金属ファイバー、電線、無線に絶対勝てるという算段でした。アメリカだけで1本15万のその30mPOFシステムは、50万本の需要があり市場価格で750億円売れる大きな計画でした。幸いにも日本の大手プラズマTVメーカーP社が興味を示してくれ、ラスベガスの大きなショーで展示、その後市場展開してくれる予定でした。

しかし事件はその時起りました。我が社のPOFがショーで展示されていないのです。話が違うとクレームをつけようとして、P社の担当に会いたいといっても、多忙、不在でとうとう最後まで会えませんでした。結局その製品は50万本の0.1~0.2%しか売れませんでした。私もさまざま製品の市場導入をしてきましたが、このはずし方、滑り方は、異常でした。

なぜこんなことが起きたのか、私は途中から入ったので、進んでいるプロジェクトにクレームはつけられなかったのですが、品質重視の大メーカーによくある、製品ありき、品質ありき、技術ありき、で価格は置き去り、お客は置き去りという、プロダクトアウトの典型です。良いもの、品質が高いものは売れるはずという幻想です。プラズマTV70万+POFケーブル15万=85万に対して、これより安い液晶にも勝てず、さらに安い、液晶TVの半額のプロジェクションTV30万+電線ケーブル1万円には全く勝てなかったのです。ご存じのようにプラスティック光ファイバーとは別次元の問題で、プラズマは液晶、プロジェクションTVに負け撤退しました。また当時日本の液晶TVメーカとして絶好調だったS社も、技術をサムソン、LGにパクられ大苦戦しています。勤務していた会社はPOF事業では多大な設備投資もしていて大損でしたがすぐに撤退しました。正しかったと思います。

POF事業の拡大のため、優秀な技術者を数人~10数人中途採用しましたが、仕事がなくなり会社から去って行きました。希望を持って転職してきたのですが、悲しい結末でした。これも運命と思ってあきらめるしかないです。でもいったい何が悪かったのでしょうか。いまだに総括されていないような気がします。それをすると責任を取らなければならない上層部の方がいるからでしょうか。でもそれでは同じ失敗を繰り返してしまいます。ヒトを責めずに、コトを追求する。言葉ではきれいに言えますが、実際はヒトに集中するので、みんな避ける傾向がどこでもあります。でも強い会社はやってます。そこが違いです。

それでは、チュース