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430.片山晋呉と宮里藍と顧客満足度

片山晋呉プロは、ゴルフトーナメントのプロアマ大会でスポンサーを不愉快にさせたマナー違反で、今一斉攻撃を受けています。45才でツアー31勝、永久シード権を持つ、現役最優秀プレイヤーです。プロゴルフトーナメントは、1トーナメントに5億円かかるビックイベントでそのかなりの部分はスポンサー負担でまかなわれ、本大会の前日に行われるスポンサー接待のプロアマは参加選手の義務で日当も支払われるそうです。スポンサー関係者、及び得意先はそのプロアマで有名プロとプレーしたり、アドバイスしてもらうことを楽しみにしており、宣伝効果に加えてそれがゴルフ大会スポンサーになる理由です。6月初旬に行われたそのプロアマで片山選手はスポンサー関係者を怒らせてしまい、懲罰にかけられるそうです。この事件には賛否両論あり、なぜプロアマが必要なのか、選手はプレーに集中し収入はスポンサーに頼らずプレーを見に来る人から徴収するのが本来という著名評論家の意見もあります。

しかし、男子プロは、2010年の60万人のギャラリーが昨年は30万人を切り、この人数では、収入は1トーナメント4000万円しかなく、TV放映料をいれても全然トーナメントを維持できません。そこで、青木功プロ、石川遼プロがやっきになって、スポンサーを大事にして顧客満足をあげようというキャンペーンを始めた矢先の事件でした。顧客軽視は片山プロだけでなく男子プロ全体が持っている風土であり、そこが問題の本質です。今から40年前は、AON(青木・尾崎・中島)という強力なスタープレーヤーがいて、かつ倉本プロなど有力な若手がどんどんでてきました。男子プロの人気は絶頂で、トーナメントも年間46もあり、毎週でした。その頃はプロゴルフ選手は顧客のことなど全く考えないで、自分のプレーに集中して勝てば良かったのです。尾崎プロの顧客への悪態、傲慢さなどは陰では言われましたが、メディアも尾崎プロに嫌われるわけにはいかないので沈黙していました。男子プロにはその頃の風潮、流れがいまでもあるのです。顧客って何、自分たちはゴルフだけしていればいいという考え方が主流なのでしょう。環境が激変しているのに自分たちは関係ないという意識です。若手プロが少なくベテランが多く、意識変革など全く眼中にないのかもしれません。トーナメントを維持するのは自分以外の役割という考え方です。これは伝統ある古い会社にもよくあります。自分たち中心で顧客不在です。

一方、女子プロはどうでしょうか、30年前は男子プロに比べて人気、実力とも大きく差があり、樋口久子プロ、岡本綾子プロ、大迫たつ子プロなどのベテランが奮闘していましたが、人気はいまひとつ派手さ、鮮やかさ、花がありませんでした。そんなものはプロスポーツ不要と考えていたかもしれません。しかし人気低迷に危機感を持ち、その頃から顧客優先、ファン、スポンサー第一を掲げ、女子プロへの教育を徹底して行い、少しづつ成果もでてきました。そこに2000年、現れたのがゴルフ界のスーパースター宮里藍です。日本内外でのゴルフの実績もすごいのですが、彼女は存在自体がみんなの憧れ、夢のスターです。現在、女子ゴルフは、年間38試合(男子23試合)、ギャラリー数も去年は60万人(男子30万人)と男子ゴルフを大きくリードする結果になりました。その隆盛の中での宮里藍の存在は大きく、先週の宮里藍サントリーカップでも彼女に憧れてゴルフを始めたという20才前後の有力プロが数多くいて、一人の女子プロが女子プロ業界を変えたと言ってもいいでしょう。彼女のファンやお客様を大切にする心、ゴルフを愛する、姿勢は見ているだけで、暖かく、うれしくなってきます。子供へのレッスン、インタビューでの対応、ファンへのビールサービスまでやります。あれだけ有名、立派なのに、顧客視線ですべてに対応しているところは神です。何万語を言うより彼女の実践するファンサービスは説得力があります。顧客は満足します。サントリーカップの優勝セレモニーでの彼女のスピーチは原稿もなく、自分のその時感じた心情を、実にさわやかに、明るく、楽しく話しています。彼女はたぶんゴルフ界だけでなく、もっと大きく羽ばたくような予感を感じさせるスピーチでした。

ようやく男子プロも顧客満足に気づいて、花のある石川遼プロが先頭に立って顧客満足度向上の改革を始めたことはとても期待しています。お題目だけの顧客満足ではなく、浸透、定着、実行させなくてはだめです。彼はこのところ成績低迷していますが、必ず復活してくると思います。あとはうるさいプロゴルフ業界の先輩たちをどう意識改革させるかです。そのパワーゲームは貫録のある青木プロや業界改革に前向きなベテランプロを味方につけて抵抗勢力を抑え込むかです。まだ若いですが彼の手腕の見せところです。期待しています。

それでは、チュース!!

6.旭山動物園の不思議

旭川市の市営である、旭山動物園 廃園危機からの奇跡のリカバリーとして一躍有名になりました。1996年には入園者26万人が2007年には307万人、動物の種類は152⇒138に減っているのに、入園者は12倍です。旭川空港には海外からのチャーター便がぞくぞく到着、外国人もたくさん来ています。この様子は、雑誌、書籍、TVでも盛んに取り上げられ、マーティングの成功例にもなっています。私も実際に現地にも行き、自分の戦略セミナーの事例にも使わせてもらっています。その成功理由として

1.「ペンギンは鳥である」⇒(水の中での姿)という視点、パラダイム変換があり、動物本来の素晴らしさを追求した「行動展示」を実行した。あらざしが 円筒水槽を 楽しく素早く泳いだり、白くまのダイビング、オランウータンの空中散歩。

2.「14枚のスケッチ」をスタッフ自らが描き、「旗」立てた。ビジョンの有効性

3.動物のすごさを 飼育員が自ら来園者の前で、ハンドマイクで話したり、手作りの説明パネルを作る。従業員の意識改革

4.円山動物園のミニチュアでは客は来ない。旭山らしさの追求 差別化

等々です。しかしこの戦略実行の背景には、実際には市長が変わった時、廃園か再生かの決断時に市長が再生に舵を切り、改革実行予算がついたことが大きかったと推測します。このタイミングが勝負と動いた園長の判断力、行動力はすごいと思います。その後、自分はあまり表に出ず、トップダウンではなく、現場からのボトムアップ中心で改革が推進されるストーリー、物語を仕組、実際に動物園全員一丸となって実行したのだと思います。この園長は部下の力を引き出す真のリーダシップを発揮された人だと思います。しかし私にはどうしてもわからないところが2つあります。

1つ目は、改革していったスタッフは、市役所に就職した普通の職員です。元から動物好きの人ではなくたまたま大赤字の市営動物園に配属されたのです。私の常識では、お役所の公務員は、規定の時間内そこにいれば、自動的に給料が出る。できるだけ大過なくすごせれば良いと思っている人たちが多い。もし動物園が閉鎖されても別の、ひょっとしたらもっと楽な職場が待っているかもしれないのに本当に頑張った。結果として従業員の意識改革、現場力が成功要因となっていますが、危機感を普通持たない、公務員の集団が変革していく真のきっかけは何だったのか。これが不明です。

2つ目は最大の要因である、ビジョンの有効性 つまり「旗」を描いたのは1990年頃、実際に改革が始まったのは、予算がついたそれから4~5年後です。その間は何も起きていません。逆にじり貧状態が加速している時です。その間に旗に描いた夢が思い通りに実現できないことや、予算がつかない運の悪さで、やる気がなくなっていくことはなかったのでしょうか。どうやってモチベーションの維持をしていったのでしょう。これは、どの本にも書いていません。実際に改革を実行した人に会って聞くしかないことであります。これがわかればすごいことです。 不完全なもやもや感ありの終わり方ですみません。

それでは チュース。