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500.振り出しに戻ったゼロックス買収の勝者と敗者は?

富士フイルムHDFF)は去年1月、所有する富士ゼロックス(FX)の株のFXへの売却資金で米ゼロックス(XC)の50.1%を保有して子会社化する買収計画を発表しました。当時の古森会長は業界のゲームチェンジとその将来を熱く語っていました。しかし物言う株主の登場で、経営陣は買収反対派に交代し、一度合意した買収を破棄しました。XC買収案合意は元の経営陣の株主への背任行為と物言う株主は提訴、1審は勝訴しましたが、2審はFF側の勝訴になりました。昨年12FF古森会長は、買収計画の一方的破棄は契約違反とXCを相手に1100億円の損害賠償で迫っていましたが進展は見られず、とうとう当初の買収合意内容を変えるつもりはない、買収は難しくなったと発表、事実上の買収案の取り下げとなりました。

一方でFFトップはXCトップと11月に技術、生産協力、販売権の住み分けなど買収案発表前の関係に戻すことで合意しました。大山鳴動して・・の感もありますが、元の形に戻ったのです。

ではこの一連の中で、勝者と敗者は誰だったのか、敗者はXCでしょう。株価は1年前より40%の下落、FFから良い条件を引き出して、将来ビジョンをFFに任せて経営陣は退出、株も高値で売り逃げという思惑がはずれ、混沌とした状態が続いています。次の敗者はリストラされたFXの社員たちです。FF古森会長が言われるようにFXの構造改革は進み、リストラは完遂されました。FFからの構造改革の推進に嫌気がさして自主退職する幹部、管理職社員も多数出ているようで、旧知のFXの友人からは嘆き節が聞かれます。しかしそれはFFからしたら想定内で、振るわなくなったFFのメイン事業で余剰になった管理職の新たな仕事の引受先になっています。FXではFFによる緑化運動と言っているそうです。そうすると短期的にみれば勝者はFFだということになります。なんの損失もなく、ビジネス形態は従来のまま、FXの構造改革は実行でき、FXの要職をFF経験者で占めることになり、FXの一層のFF化を進めることができました。

しかし長期的に見ると勝者はいるのでしょうか、1年前の買収発表時に、古森会長が言われた、XC,FXの重複機能の合理化による組織の活性化、世界最大の事務機器企業として、将来に向けた、複写機以外の新事業、ビジネスの両社による共創、創出、創造の可能性はほとんどなくなりました。そしてそれは、FFの主力事業であるFXビジネスの縮小均衡、消失のモードに入ってしまいます。もちろん優秀なFF,XC双方のトップが出した結論出すから、正しいと思いますが、視点をあげて、長期的に見るとなんとかならなかったのかなと外野席からは見えてしまいます。

それでは、チュース!!

 

432.冨士ゼロックスのリストラと社員のモチベーション

冨士フイルムHDは米ゼロックスの買収合意破棄による損害賠償1100億円と合意破棄違約金200億円を米国の裁判所に提訴しました。外人に舐められることの大嫌いな古森会長ですし、提訴は正当です。しかしアメリカでの裁判ですので公正に行われるかは疑問です。この買収の成否に関わらず、1月に発表された冨士ゼロックスの1万人のリストラは粛々と進行し、先日新潟事業所の閉鎖も発表されました。これから早期退職希望者の募集も始まっていくでしょう。そして先週冨士ゼロックスの社長交代の発表がありました。冨士ゼロックス生え抜きの社長から古森会長の右腕として冨士フイルムの大変革を実行したT氏に変わりました。T氏は冨士フイルムにしては珍しく10数年前に請われて他社から入社しました。冨士フイルムの第2の創業の表看板は、銀塩フイルムから脱却、ドメインの大変革であり、医薬品、化粧品への華々しいデビューでしたが、その裏で組織統合、リストラ、希望退職の実施という、長年苦楽をともにした仲間への情を感じてしまう生え抜き管理職、役員ではできない裏の重要な仕事で次々と成果を上げトップから高い評価を得ました。そして冨士フイルムHD副社長になり今回冨士ゼロックスの社長に抜擢されました。私は直接お会いしたことはありませんが、彼と一緒に働いた富士フイルムの友人たちの話では、今までの富士フイルムにはいないタイプのすごいキレ者で、権限を自分に掌握することがたくみで、仕事の目的のためなら摩擦、軋轢はいとわない強靭な精神な人のようです。これから本番になる冨士ゼロックスの構造改革(リストラ)の切り札です。

冨士ゼロックス社員は、1月のリストラの発表以来、モチベーションダウンが始まっているという話を聞きます。冨士ゼロックスと一緒に仕事もしましたし、冨士ゼロックスの友人たちからの話では、冨士ゼロックスは創業以来、明るく、自由闊達で、風通しが良く、マネジメントも社員のモチベーションに気を使い良い環境に配慮してくれた会社でした。だから愛社精神旺盛で社員は会社を信用、信頼、大好きだと言う人が多かったです。

一方の冨士フイルムは、私は古森会長が部長時代から、彼がピラミッドの頂点になる組織しか知らないのですが、会社・上司は社員にミッション・仕事(should)を与えれば、社員、管理職は自分でどうやるか(how)考え、スキルは自分で身につけ、ヤル気(will、motivation)は個人の責任で、会社や上司が関与、引き出すものではないという厳しい組織風土でした。それでも会社の高ブランド、高収益、卓越した技術力、高給与でしたから、優秀な新人は大勢集まり問題なくうまく機能し続けました。苦しくてもみんな上を目指して頑張るのです。冨士フイルムにはYMO「いまに、みていろ、おれだって」という言葉があって先輩社員から若い時は何があっても我慢するのだと言われました。つまり冨士ゼロックスと富士フイルムは全く違う組織風土の会社だったのです。

しかし時代は変わりました。これからの冨士ゼロックスは冨士フイルム流のやりかたで統治されていくでしょう。冨士ゼロックスの社員はもはや古き良き昔を懐かしがっていることはできません。冨士フイルムのやりかたに順応していくしかないのです。それでは自分のモチベーションが維持できないと思う人は新たな境地に出て行くしかないです。自分の能力の世間的価値を把握し、自信があるならチャレンジして出ていけば良いと思います。なければしばらく自信がつくまで様子見です。現実を直視して対応していくしかないです。短気を起こしたり、やけになってはいけません。まずは自分の生活を守り、維持していかなくてはなりません。

このような、M&A、リストラの影響は米ゼロックスでも同様に起きますが、社員モチベーションの問題はおきません。欧米での社員平均社歴年数は5~10年であり、管理職、マネジメント、CEOは、ほぼ転職組です。ポジションを上げるのは転職、ヘッドハンティングが常識です。今回の買収も日常よく起こることで自分のポジション、給与アップのチャンスととらえるでしょう。冨士フイルムと買収契約をした元米ゼロックスマネジメントは、高額退職金を得てほぼ退職してますから、これから管理職、社員も同じことをするのが普通なのです。そこはビジネスライク、ドライに対応します。

冨士ゼロックスは今までは良い社風で、居心地が良かったのです。しかしもうそこには戻れません。これからは厳しい言い方ですが、自分のモチベーションは会社に頼らず自分で上げていくしかないのです。

それでは、チュース!!