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327.健全な危機感の醸成

一流企業、特に優良企業のメーカーの管理職の方たちの研修で気になることは、自分の会社への危機感があまりないことです。会社は業績順調、長年培ったブランド価値は高い、財務内容も健全、業界での地位もトップ、良い顧客を持ち、人材も豊富、技術も優秀となると「自分たちの会社は永遠に不滅です」と長嶋監督の引退スピーチみたいな錯覚に陥っている人が多いでのす。会社はいまのままで大丈夫と思いこんでいるのです。

この人たちの良い特徴は、地頭が優秀で理解力がありレポート作りはうまい、討議・ファシリテーションはうまくできる、謙虚、自分自身の成長意欲が高い、言われたことはきちんとこなす、さばくことができます、チームワークも得意です。しかし弱点は、揃いすぎていてあまり個性がある人が少ない、突飛な意見は出ないか、出さないようにしている。自己抑制が効きすぎて目立たないようにし、出しゃばることはしない、すぐに正解を求め、そこから逆算してきれいなプロセスを考える。少しはみ出た人がいないことです。もっともプレイヤーではみ出た人は管理職候補にはなれないのかもしれません。金太郎飴的な人が多く、身の回りの課題をそつなくこなしていれば、自分は出世、昇進できて良い暮らしができると思っています。確かにこれは間違いではないのですが、全員が小さくまとまってしまうと、会社が危機に遭遇した時、何か打たれ弱い感じがしてしまいます。社員には肉体、精神タフで少し尖った人も危機の時には必要だと思います。

ある程度の危機感というのは、社員に今のままでは会社はそのうちダメになってしまうからと、将来を見据えて、自分の強みの棚卸と拡充をしようという気にさせます。あまりに大きな危機、たとえば富士フイルムの写真フイルムが急になくなるようなことは困りますが、小さな健全な危機感はいつも持っている必要があります。そうしないと組織は緩みます。甘くなります。たるんできます。その対策として会社の中にストレッチ、チャレンジした新規事業があり、それが最初は赤字の状態が続いているものを意図的に作ることです。あの事業を黒字にできないのに慢心している場合ではないと社員に思わせることです。サントリーが長年ビール事業を赤字の状態でも続けて黒字化させたのが良い例です。会社にとって社員が、この会社はもう大丈夫、自分は何をしなくてもOKという慢心が一番恐いことなのです。

それでは、チュース!!

298.20年後のいい会社になるために健全な危機感を持つ

いい会社とは何でしょうか、ビジョンを作ったり中期計画作成のお手伝いをすると、このテーマが良く議論になります。外から見える指標は、売上、利益、成長率、顧客満足、従業員満足、グローバル化率、等々いろいろあります。ちょっと違う視点からですが、私は自分の息子や娘を入れたくなる会社というのが、ひとつの共通の結論だと思います。

自分の生活のために、嫌々ながら我慢して会社生活を送っている人たちは、子供に同じ苦労はさせたくないと思いますから、今自分の勤めている会社を子供たちに推薦しないでしょう。一方で私が訪れる多くの会社は優良会社で業績順調、ブランド、待遇、給与、福利厚生も良く、社内も良い人たちだらけですので、自分が経験した楽しい仕事を子供たちにも味あわせたいと思うので、自分の会社に入社させようとします。それは素晴らしいことです。ただこうような会社には共通した特長があります。現在の好調なビジネス環境が未来永劫に続くと思っている人が多く、保守的、受け身、チャレンジ精神は少なく、でしゃばらない、目立たないように仕事をしている人が多いです。そのほうが高い評価をされると信じています。職場風土も人間関係の和が第一で、ギクシャク、ギスギスすることは嫌います。相手に踏み込みません。穏便に穏便に事を進めるために甘め、緩めの会社になります。ちょうどゆでガエルのたとえ話で、程良い温度で気持ちの良い状態です。誰かがこつんとビーカーを叩けば良いのですが、誰もそういうことはしません。コンサルの目から見るとこう言う会社は、もっと外に目を向けて、自社や自分たちの置かれた状況をクールに客観視することが必要であり、尖ったことをいったり、やったりする適度なチクチク刺激をする、フナの群れにナマズのような人がいると良いのですが中からはそういう人は出てきません。経営陣が外から中途で強制的に入れたとしても、元からいる人に「和を乱す危険人物」として弾き飛ばされることがほとんどです。例外として、相当な野心家、トップと握っている、かなりの悪の人が、元いた人たちを駆逐したケースを知っていますが、それは稀です。

会社がずっと今の良い状態が続けば問いのですが、ビジネス環境はそんなに甘くありません。私がいた写真フイルム業界の巨人コダックは、英語の辞書にも、Kodak=写真を撮ると出ていました。Xerox=コピーを取ると同じです。アメリカのロチェスターに本拠地を置き、130年栄華を築き、ファミリー4代が勤めたという美談もたくさんありました。その会社も2010年には、写真フイルムがなくなると供に消えて行きました。アグファやコニカも近い状況でした。

社会環境、競合環境の変化は本当にすさまじい早さで進んでいきます。ちょっと時代に乗り遅れると会社は簡単になくなってしまいます。経営は本当にたいへんですが。うまく時代を捉えられ、自社の強みを活かすことができれば、また次の波に乗れます。それが経営者の醍醐味なんだと思います。そのためにまず大事なことは、経営者、幹部社員がまず危機感、それも今、頑張れば将来はなんとかできるという健全な危機感を持つことです。トヨタ自動車も元は機織り機械の会社でした。それが大きく変身していったのです。20年後も良い会社でいるために、まずは健全な危機感を持ちましょう。

それでは、チュース!!

 

211.三菱自動車の隠蔽体質は危機感のなさが生む

とうとう日産自動車の傘下に入ることになりそうな三菱自動車ですが、不祥事は20000年くらいから3回目です。リコール申請なしや、欠陥自動車の隠蔽、今回の日産から指摘された燃費不正隠蔽、これはもはやたまたま、偶然ではなく会社全体に真実を隠す隠蔽の風土があります。東芝や旭化建材の時も同じですが、トップやマネジメントは全然知らないことになっています。今回の会長、社長会見でも「知らないことで逃げのがれはしない」と言っていますが当事者意識は薄く見えます。というか、こういう会社には部下はトップは知らないことにして不都合なコトは自分たちの責任で進めていこうという体質があります。これは多くの日本の会社にあります。これがうまくできた人が、昇進していきます。ホントのことを下が内部告発したら、たいがいの場合わからないうちに存在を消されて行ってしまうことが多いです。

こういう職場、会社では本音を言ってはいけない環境が出来上がっています。事実と違っていても建前が横行しています。建前でないといけないということで、事実からどんどん目をそらし、事実は見えなくなっても来ます。不正など絶対に当社ではありえないと全員信じています。

何故このようなことが起きてしまうのでしょうか。それは私は危機感のなさだと思います。この会社はいつまでも永遠に続くと信じているのです。少なくともトップは自分の任期中は大丈夫と思っています。うまくやりすごせればよいと思っている人もいるでしょう。もちろんそうでない立派な社長もたくさんいますが、そういう人はオーナー経営者に多いです。自分の子、孫まで今の良い会社の状態を継続して渡したいと思っているからかもしれません。それはオーナー経営の良いところであると思います。

加えて三菱自動車は、なぜ過去の反省が生かされないで同じことを繰り返すのか、それは何か不祥事があっても三菱という日本最高ビッグブランドのもと、最後は三菱商事、銀行、重工から救いの手がくるという他力のところがあるからだと思います。三菱ブランドは偉大である反面自立できない弱さもあります。三菱ブランドのプライドはすごいものがあります。以前三菱商事の部長対象に研修インストラクターをしたことがあります。事例としてトヨタ自動車の手法を出したところ、三菱をトヨタと一緒にするなと複数の部長はマジでキレていました。私見ですが、今回問題になった三菱自動車には、庶民感覚の必要な軽自動車は向いていないと思います。今回日産と軽自動車を協業するのは妥当だと思います。三菱は上から目線でしか市場を見られないと思います。もちろん視座を高めて大所高所から俯瞰してビジネスをすることを三菱はとても得意です。あるところは、官僚以上だと思います。自分たちのことを民僚と呼んでいることもうなずけます。その分野で頑張るべきです。

軽自動車は大企業になっても、「スズキは永遠に中小企業」と言ってはばからない、庶民感覚のわかるスズキ自動車やダイハツにマッチした分野だと思います。

結論ですが、隠蔽体質は、本当の危機感のない職場、会社から起きると思います。日本の会社のこの隠蔽体質は急速に変わってきています。しかしながらブランド力が強い伝統的な大きな会社、今のままでいけると思っている会社はちょっと危ないところもあります。

それでは、チュース

168.危機感と「ゆでがえる」

世間でよくいわれる「ゆでがえる」のお話、ご存じと思いますが、知らない方のために説明しますと、かえるを、水を入れたビーカーに入れて、下からアルコールランプで温めますと、沸騰するまでそこにいて「かまゆでの刑」になります。熱くなってきても、まだ大丈夫、大丈夫と思い続けるからです。しかし熱くなってきた時に、ビーカーをこつんと叩けば、思い切りよく飛び出して、かえるの命は助かります。でも何もしなければ、死んでしまいます。

会社の状況にこの例はよくたとえられます。どんな会社でもいつまでも未来永劫同じことでやっていては衰退していきます。その危うい変化は日々徐々にやってきて、深まっていくことが多いので、毎日忙しく仕事があるとその変化はわかりません。ゆでがえるの言い方を変えれば、「真綿で首を締めあげられるように」が良いでしょうか。どちらにしても避けたいことです。

昔、ロンドン駐在の頃、よく科学博物館に行きました。1Fのメインの場所に、アポロ宇宙船の横に、豊田自動織機が展示されていました。1870年代この機械が世界の紡績業界を英国製に替わって制覇したとあります。私はトヨタさんとは関係ありませんが、日本人の優秀な先人の業績を誇りに感じました。ここで得た莫大な利益をもとに、今の自動車業界に進出していったと説明していました。トヨタとて時代の先を読んで、バクチに出ていたことがわかります。後で繊維関係者に聞きましたが、豊田自動織機がなぜ英国製を凌駕できたか、それは「糸がきれると機械が自動的に止まり、不良品を作らない構造」であったそうです。英国製は糸がきれても、止まらず不良品を大量に作ってしまったそうです。織機から自動車に業種は変えても「トヨタ式の哲学」が継承されていったのはすごいことです。

では、業績が悪くなりかけたり、競合に負けはじめたり、代替品が脅威になってきた時、どうすれば良いのでしょう。私がいた写真フィルム業界のように、デジカメが3年で従来の銀塩フィルムを駆逐するような急激な変化なら、その危機は誰にでも認識されて変革に動きます。しかしたいていのビジネスでは、変化は少しづつ迫ります。ですから気づいた誰かが、「危ない、行動しなければ」と叫んで、動き出せばいいのです。それは視点が高く、視野の広いマネジメントがまずその役割ですが、現地、現場、お客さんの変化を生で感じている、第一線がトリガーにもなりえます。生の声を役員室まで伝えなければなりません。残念ながら中間で消滅してしまうことも多くありますが。
その変化、変革への対応を阻害する一番の要因は、日々の目の前の仕事の忙しさで、精一杯で新しいことは、できない、無理、無理、このままでなんとか、しばらくは行けるよ、大丈夫という意識だと思います。このことを、ある会社のマネジメントの方は、「変化、危機に対する無意識な当事者意識のなさ」と言っておられました。問題なのは、無意識なことです。当事者なのに、問題はない、ないことにしようという意識です。そうなると、変革課題はあっても放置されたり、具体性のない抽象度満載の課題にあえてしてしまいます。

もし、幹部社員、社員に真の危機意識(このままではだめだ、変らないといけない)が生まれれば、危機を自分の問題として捉えるようになれば状況は変わります。課題はより具体的になり、上下、同僚で仕事に対して厳しい向き合い方になります。社内での情報共有、相談が増えます。そして実行していきます。危機が迫っていると実感できたら、そうなります。
元日本サッカー代表監督オシム氏の言葉「ライオンに追われているうさぎは、足が痛いとはけっして言わない」当時の日本代表選手の甘さを指摘した、たとえ話として有名です。

この危機感をいつも社内にどう作るか、これはマネジメントの大きな役割です。言葉だけで言っても伝わりません。あえて赤字部門を作っておく経営者もいます。サントリーのビール事業が良い事例かもしれません。クライシスシナリオをいつも書き続け、そうならないようにする課題を作り、実行していく経営者もいます。

それから危機感は恐怖感とは違います。危機は想定できれば、その対応を考え実行して危機を回避すれば良いのです。しかし恐怖は恐ろしさあまり、そこに立ちすくんで何もできずに、破滅していきます。
マネジメントは、危機感の醸成は必須ですが、恐怖感を社員に植え付けていけません。

それでは、チュース

160.イ・ボミの快挙と上田桃子の憂鬱

今年の日本女子ゴルフ界は、韓国のイ・ボミが7勝、獲得賞金は2億2600万円と男子を入れても日本最高で、全く彼女の年でした。続くのは台湾のテレサ・ルーの5勝、日本人選手は、2勝した成田美寿々と渡邉彩香が最高でした。
最終戦で上位に健闘した上田桃子が、表彰式から離れてベテランらしい次のような深いコメントをしています。「ボミはビジュアルがいいし、強いし、ファンサービスもしっかりする。応援してもらえるだけの努力はしっかりしている。今の国内女子ツアーの人気は、彼女がいなかったら、すぐ転がり落ちるくらいの危うい状況である。自分も含めて危機感が足りないと思う。若い子たちはもっとやれるのに現状に満足している。」これは彼女ならではの現実を厳しくありのままに見た感想です。

かなり昔のイ・ボミのコメントに「私がバーディーを取っても、同じパーティーの日本人選手のパーの拍手が多い。」韓国嫌いのギャリーも多く、くさっていたこともありました。しかし彼女は逆境を自分の力とパフォーマンスで乗り越えてきたのです。確かに今の若手女子プロは、小学生全国大会の頃からの有名選手、親の経済力もバックにゴルフに専念でき、ずっとちやほやされ続けているのは事実でしょう。しかしゴルフはある程度お金持ちで、親が後押ししなければできないスポーツですから、お嬢さんでないと始められません。その彼女たちに危機感とか、ハングリー精神を言っても無理があるでしょう。これは望む方が無理です。ではどうしたら、良いかやはり一度自分の力だけで生きる武者修行、海外に一人で出るしかないと思います。もちろん宮里藍、横峰さくら、はじめ多くの日本人女子選手が海外に飛躍していくのはとてもいいことだと思います。間違いなく、ひと皮向けて心身頭ともに強くなります。しかしそうなると、なかなか日本には戻ってこなくなってしまいますが、それはしょうがないことでしょう。私がTVゴルフ番組で気になるのは、そういう日本人若手選手に、おべっかを使い続け、女子ゴルフの状況を過大にアピールし続ける、メディアとしたり顔の解説者の立ち振る舞いです。スポンサーとの関係で、ギャラリーの多さ、TV視聴率の高さのアピールが大切なのはわかりますが、やりすぎに感じます。真に強い日本人選手が出てこないとブームは去ってしまうと思います。もっと厳しいコメントを解説者も話す必要があるのではないでしょうか。

話は変わりますが、大相撲はもっと深刻かもしれません。日本人が優勝したのは、もう10年くらい前でしょうか。優勝はモンゴル出身3人の横綱の持ち回りになってしまいました。モンゴル出身力士のハングリー精神に、日本の若者が勝てないことは明白になってしまいました。今の豊かな日本で、厳しい相撲界に入る若者が激減しているのはやむを得ないかもしれません。これも環境の変化の影響かもしれません。

しかし、実業のビジネスの若者は、是非そうならずに、危機感を持って、ハングリーさを失わずにチャレンジしてくれる人がまだ大勢いることを信じたいです。これは、私たち大人の責任でもあります。そうしないと日本沈没の方向に少しづつ進んで行ってしまいます。

それでは、チュース

157.危機感は無理でも自社の強みを研ぎ澄ませ

業績困難に陥った会社が復活していくきっかけは2つあると、私は思っています。

ひとつには会社全体に、このままではダメだという危機意識がマネジメント、管理職、一般に持てていることです。しかし危機意識は長い間は続きません。ある会社で部長研修をした時に、「あなたがたの会社には危機感が必要です。」と言ったところ、全員から「何を言っているのです。うちの会社は入社以来ずっと危機感の連続です。危機感は十分あります。」と反撃されました。この会社、歴史のある老舗企業で、昔購入した簿価の低い社有地をたくさん持っていたので、経営陣は毎年、それを切り売りしてやりくりしていました。また新規事業開発であたったものが複数あり将来有望なのですが、それをビジネスをする能力がその会社にはなく高額で他企業に売却して、その臨時収入がありました。その会社の欠点は世界初の開発ものは多いのですが、2番手、3番手にすぐ追いつかれて、ビジネスで儲けることができない体質になっていました。ですから、毎年決算数字はそれなりになるので、詳細を知らない、関心のない社員は、今までなんとかなったのだから、これからも大丈夫という根拠のない安心感を持っていました。もちろんその会社の社長は、元凶である「幹部社員、社員に儲ける意識が乏しい」ことにフォーカスした強烈な研修を行い、V字回復しました。危機感で会社が引っ張れるのは、せいぜい3年くらいです。それ以降は惰性になってしまいます。

ふたつ目は、自社の強みをどこまで強く意識してそれを研ぎ澄ましているかです。SWOT分析は誰でも理解、実践もしたことがあると思いますが、4つの象限の打ち手で一番需要なのは、強みSを機会(O)にぶつけることです。ここで勝負でき、勝てなくては会社は衰退していきます。勝ち残れません。しかし、この両方を鮮明に明確に把握できていない会社が本当に多いです。機会の未来予測は、様々な情報から入手できますし、自分で未来を変えて行くという力強い経営者もいます。未来が予測、ある程度把握できればどちらでもいいと思います。困ってしまうのは自社の強みのとらえ方が本当に甘いことです、というか強みになっていません。強みとして必ず出てくるのが、①社員が真面目で一生懸命、長時間働きます。②困難に会ってもあきらめずにやり抜きます。③いいお客さんがいます。この3つはどこでも出てきます。もちろんこれも大切な要因ですが、下支えになる部分でこれはたいていの会社にあります。強みは他社に比べて圧倒的に優位なことです。それは、端的に言えば、エッジの利いた技術や、際立った他の真似のできない強みです。でも長い間、ひとつの会社で同じ仲間と同じ顧客、同じような仕事をしていると、自分たちの強みをまったく見失ってしまうことが多いです。30年以上続いた会社には、他社が真似できないすごい技術を持っています。しかしこれをほとんどの会社の社員、幹部はバクっとしか捉えていません。平常時はそれでもいいですが、危機を迎えた時は危ういです。重機械の会社は、鉄を切って、曲げて、つなげるだけだといますが、その高度技術はたいへんなものです。あるバネ専門会社のその微細精工な技術は世界一ですが、それを説明するのはけっこうヘタです。良い例として富士フイルムが化粧品に出られたのは、ゼラチンという写真フィルムの乳剤を溶かす、保水性の物質に対する高度な知見、経験があったからです。みなさんも自社の強みを是非いまのうちに見直してください。

私は、最近、海外ナショナルスタッフ向けの仕事が増えています。海外駐在経験があり、英語が話せて、戦略の作成と実行も理解し、人に興味が、深く場が作れて、メンバーをコーディネートできる。ひとつひとつで、できる人はたくさんいますが、全部となるとあまりいません。合わせ技も強みになると思います。私はこの分野を特化しようかとも考えています。

1人のビジネスマンとしても、自分の強み(他者が真似のできない)を十分理解し、ブラッシュアップし続けることが、いざ危機に面した時、助けになります。会社が順風で追い風を受けている時は、まったく必要ありませんが、明日のことはわかりません。リストラは絶対にないと社員全員が固く信じている、信じたい会社はけっこう危ないです。

それでは、チュース

4.会社、組織に危機感は必要か

会社、組織がいつまでも今の状態が続く保証があれば、ほとんどの組織、人は指示された仕事を勤務時間内にこなすだけでしょう。年功序列でポジションと給与が段階的に上がっていくなら尖った言動は慎み、穏やかに和を維持しながら過ごして行くのがいいです。たとえば官公庁、多くの大手インフラ系企業、学校、病院関係 などがそうでしょうか。でも一般の企業、商店はそういう訳にはいきません。会社の寿命は30年と言われ、製品寿命、創業者の強いリーダーシップも長くは続きません。これが普通です。私の実家は戦前から地方で薬局をしていましたが、医療保険充実で医院・病院が増え、地元に薬大ができ薬局が増え、また郊外にドラッグストアができ、廃業になりました。この30年でなくなったビジネス、街では写真のDPE屋、時計・メガネ屋、風呂屋、公衆電話も姿を消しました。ウオークマンもなくなりました。新しいビジネスは、携帯電話、スマートフォン、インターネット通信、ipod、ipad、デジタルカメラ、Amazonに代表される電子ビジネス、それを支える宅配ビジネス、格安航空会社 就活ビジネス 等々あげていったらまだまだあります。ビジネスそれ自体はあっても競合ライバルに負けたり、新規参入会社、製品に負けて行くことも多くあります。でもこれは世の常で、明治時代のトップ100の内半分以上は繊維会社でした。今はほとんど消滅です。日本一の会社のトヨタでさえ明治時代にはありません。でも世界一のトヨタ式自動織機を開発、販売して巨額の富を作り、その資金でどーんと自動車に出て行きました。会社、組織は絶えず、環境に適合して変化していかないと生き残れないというのが原理です。話は大きくなりますが、我々の祖先ホモサピエンスが残り、ネアンデルタール人が滅んでいったのもそのわずかな違いだと言われています。この話は好きなのであとにします。元気のなくなった会社に入ると、共通してうちの会社は大丈夫、根拠は今まで大丈夫だったからという人が多いです。100年続いたのだから私の定年までは・・・。現実を直視せず、誰かが助けてくれる。またいい風が吹くと信じています。危機感はないのですかと聞くと、いえ入社以来ずっと危機ですからずっと持ってますと平然と答える会社の幹部社員もいます。危機は長く続くと慣れてきて何もしなくなります。富士フイルムがV字回復したことが、マスコミで話題になっていますが、あれはデジカメの急襲が急激で3年くらいで写真フィルムの売上が半分以下になったから、本当の危機を実感できたのが回復のひとつの原因です。会社全体の危機感の共有が戦略の実行をより推進させました。そんな急激で、リスクの高いことやらなくてもいいという抵抗勢力が少なかったのです。真綿で首をしめられなかったのが良かったのです。危機感の共有を会社内にどう作るか、先を見たら将来自分たちのビジネスはなくなるかもしれない、ではその時のためにどういう準備をしていくのか。どういうふうに変わるのかを考え続ける。これがマネジメントにとって大きな重要課題です。あえて将来有望な赤字部門を健全な危機感を持つために抱える会社もあります。危機感と恐怖感は違うので注意してください。

それでは チュース