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76.任命したアメリカ現法社長にパワハラで訴えられた、つらい思い出

転職した自動車部品関連会社で社長をしていた時代、アメリカ事業拡大ため現地に現法を出すことにしました。場所は自動車産業のメッカ、デトロイトに近いミシガン州のカラマズー、シカゴからミシガン湖を渡ったあたりです。初代の現法社長に若手で優秀、英語もできるA君を任命、あらゆるサポートを日本からも行い、また現地に私は何度も足を運んで密なコミュニケーションを取っていました。

設立してから1年くらいは順調でしたが、日本にいるスタッフ数人から「社長、Aさん最近おかしいですよ、メールをしても返事がないし、電話をしても一方的に怒るだけで、一緒に仕事できません。」というクレームがあり、即私は現地に飛んで本人と話をしました。私には傲慢な態度はとりませんでしたが、元気がなく、いらいらしている様子はすぐにわかりました。しかし彼が「大丈夫です、心配しないで下さい。」ということで、後任も考えながら、しばらく様子を見ることにしました。

その打合せをしてから2週間後、A君の弁護士(米国人)から、私宛に、「あなたのA氏に対する指示、態度によりA氏は著しく体調を悪くした。あなたの行為は悪質なパワハラである。500万ドルの慰謝料を請求する。不服な場合はデトロイトの裁判所に訴える。」のレターが突然送られてきました。晴天の霹靂とはこのことかと思いました。すぐに海外部長を出張させ、状況を確認しました。A君は病気で会話も満足できないという理由で面会を拒否しました。私のしたパワハラ行為、訴えの内容は、①過大な売上目標の設定 ②そのため長時間勤務を強いられた ③日本からのサポートが不十分 ④ ①~③によってメンタルになった という漠然としたものでした。A君は現法社長ですから、自分の行動は全く自分で決められます。私が具体的に行動を指示したことは皆無です。

しかし現法顧問でアメリカでの弁護士資格を持つ日本人は全く弱気で、アメリカ社会は労働者の味方で訴えたほうが有利、A氏に要求額に近いお金を払ってすませましょう、と言ってきます。なんとも嫌な気分になりましたが、よくよく調べていくとA君と会社のその日本人弁護士が共謀した訴訟のでっちあげの臭いがしてきました。すぐに会社側の弁護士を知人の紹介でその分野の専門のデトロイトの米国人弁護士に変えたところ、彼曰く、これは全くの言いがかりで、訴訟になっても100%勝てるということで、状況は突然こちらに有利になりました。訴訟に入っても良かったのですが、そうした場合訴訟費用だけで、こちらは10万ドルくらいは必要とのことで、不愉快でしたが示談にして数万ドルを退職金を含めてA君に支払いました。これは私がA君を米国現法社長にした任命ミスです。彼は最初から問題を起こし訴訟にして、かなりの現金を会社から手に入れようとしていたようです。A君をまじめで誠実な人間と判断した、私の見る目のなさを恥じましたが、彼に入れ知恵をした人間もわかりました。

私にとってはつらい経験で、この一件も原因で私はその会社をその後退職しました。私も精神的に疲れました。私はすぐに相手を信用してしまい、こちらが誠意を尽くせば相手もきっと返してくれるはずという甘さがあります。昔の厳しい上司からはいつもそこを指摘されていました。「外人(その上司はもっと悪い表現でしたが)を信用するな、甘くみられるな」というのが口癖でした。でもこの場合は日本人でした。しかしその裏に 日本人を甘く見て、強く出れば日本人は譲歩する と思っている外人がいることがわかりました。残念です。私は何回も痛い目に会い、騙されないように進歩はしてきましたが、まだまだ残っています。

それでは、チュース