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428.富士フイルム、米ゼロックス買収のせめぎ合い

昨日午後、富士フイルムHDの古森会長は産経新聞社などとの共同インタビューで、「米ゼロックス買収は、締結した買収契約が履行されなければ損害賠償も辞さない。米ゼロックスからの1株あたり40ドル引上げでの買収提案はNoと明言。引き続き交渉は続けるが、まだ新提案はない。ソロバンが合わずにこの膠着状態が数か月から半年続けば撤退もありうる。」と述べました。実に明快に、ロジカルな交渉について期限を設けて述べました。戦い上手です。相手の脅しにビビりません。ダメならNoと宣言しました。こういう交渉過程までオープンにするのはややもすると閉鎖的に見られる日本企業としては珍しいことで、富士フイルムHDの株主、社員、関係者にとても良いことです。

今回の買収が頓挫しているのは、米ゼロックスの、モノ言う株主主導による買収契約破棄でその目的は、いかに株主の取り分を増やすかです。もし本当に富士フイルムが買収撤退するとなると一番困るのは、米ゼロックスのモノ言う株主でしょう。買収先としてファンドに声をかけていますが、ファンドが買ってもそのファンドはまた、富士フイルムに売りにくるでしょう。同じことです。これから、双方で激しい交渉が続くでしょう。古森会長が場合によっては引くという選択枝を表明したのは相手にとっては脅威です。そして古森会長の表情からは冷静に引くこともあるぞという決意を感じました。

私は本件について、391、393、417、422号で書いてきましたが、この買収は戦略的な判断は正しく、その手法も富士フイルムにとっては効率的、効果的ですし、暗礁に乗り上げてからも、会長、社長とも冷静に状況判断して的確な対応をしてきました。買収撤退案は私も頓挫の最初からありだと思っていました。ですから、撤退して元に戻ってマネジメントを続ければ良いだけの話です。

しかしひとつだけ撤退すると富士フイルムに困ったことが起きます。それは今回の買収によって、1万人のリストラが発表され、その作業が進んでいる富士ゼロックス社員のモチベーションです。知人のゼロックス幹部社員からの話では、今回の買収は大きな戦略論では正しいと優秀な富士ゼロックスの社員は思っているようです。しかし社員のモチベーションの低下は避けられず、優秀な社員から辞める人がいるようです。まあこれはM&Aとリストラの過程では当然起こることで想定内なのですが、半年後に買収撤退が正式に決まると、その時の富士ゼロックスは昔のそれとは違っています。そんなことは優秀な富士フイルムマネジメントはわかっていますし、米ゼロックス経営陣もそれは承知の上で、富士ゼロックスから情報をとっているでしょう。だから簡単に富士フイルムも撤退はできないと米ゼロックスも踏んでいます。双方の難しい交渉がこれから、いや既に始まっています。
それでは、チュース!!