私が富士フイルムで海外駐在している頃、私の担当していたビジネスの国際展示会が、ドイツや英国でよくありました。この会場で見る、サプライヤーの日本人社員と日本のお客の関係、同じ立場の欧米代理店と欧米の客の関係は一見してわかるほど大きく違っていました。
日本人:サプライヤーは、ネコ背、体の前で手をかさね、揉み手で、下からお客を上目使いで見て首を上下に頻繁に振って話しています。お客は胸はって、ふんぞりかえり、首をかしげて、ポケットに手を突っ込んで、無表情で横柄に聞いています。
欧米人:腕を前で組んでるいのがサプライヤーかお客かはわからない。時には両方とも手を前で組んでいる。どちらも背筋を伸ばして堂々と相手の目を見て話しています。
この違いは、日本は主従関係、上下の区別が、サプライヤーと客ではっきりしているからです。よくいう、少なくとも公の場では、お客様は神様ですに基づく現象です。欧州は、どちらも自分のビジネスを助けてくれる、パートナーの協業関係がベースであり、上下という差は少ないと思います。
日本の場合は、会社のビジネスで、サプライヤー、から今度はお客の立場に変わると、全く逆の立場で突然上から目線で威張りだすことが普通です。自分がサプライヤーとして従だったのときの態度、姿勢を今度は、自分のサプライヤーやお店に要求します。180度態度が変わります。
この違いが生まれるのは、日本は儒教道徳の上下を重んじる影響なのでしょうか。欧米の場合、サプライヤーと客の立場が変わってもそんなにというか、ほとんど変わらないのはキリスト教の相互互助精神から来るものなのでしょうか。よくはわかりませんが、とにかくその場にいると違いが大きすぎて不思議です。
大学の厳しい体育会組織では1年、虫けら(ありんこ食えと上から言われれば食べないといけない)2年、平民 3年、貴族 4年、王様(天皇だったかも)と言われるくらい扱われかたに大きな差がいまだにあるようです。しかし3年経てば立場が全く逆転するから1年生は我慢でき、今威張っている王様も3年前は虫けらの扱いをうけていたのです。
よく言われる、日本の嫁と姑の関係も、意地悪な今の姑も、嫁の時はその時の姑にいびられていたのです。何か、権力を取ると以前のいじめられた経験、うらみを倍返しにして今の弱い立場の人をいじめるのが、日本の伝統のような気がして少し悲しい、暗い気持ちになります。
私はもちろん、欧米スタイルが好きで、海外で、日本の客にも欧米の客と同様に対応しました。丁寧な対応ですが、言いたいことは言ってしまい、ほぼ対等な態度で口を聞いていました。親しい日本の客はOKでしたが、周囲で見ていた日本人の同僚、先輩、上司は許してくれず、徹底的に批判、ご指導を受けました。私の言動は、一般的日本人には礼儀を欠いたなれなれしい、不謹慎に見えるようです。いたしかたありません。
私の場合、客の立場にたっても、馬鹿丁寧にされるのは、かえって姑息な魂胆の裏がみえてきらいです。日本でも、もっと普通のふるまいで大丈夫な世界に早くなって欲しいと思っています。過度のおもてなしは全く不要だと思います。普通で良いのです。
それでは、チュース